解決事例 CASE

横領罪

出資された金銭を目的以外の行為に消費していた行為について、業務上横領罪の刑事告訴が受理された案件

事件の概要
相談者A(40代・男性)は、B(40代・男性)より、「自分がとあるイベントを主催するので、そのイベントの運営資金を出資してほしい」「出資してもらえれば、チケットやグッズの収益の一部をAに還元する」と言われたことを信じ、1,000万円の出資を行った。
しかし、不審に思ったAが調査したところ、Bは出資金のうち500万円をイベント運営以外の目的に費消していた事実が発覚した。
AB間で締結された出資契約では、「出資金はイベント運営のための必要経費に充てるものとする」と定められていたため、Aは、Bの行為が横領罪に該当すると考えた。
他の弁護士に刑事告訴ができないか相談したものの、「横領罪が成立するためには『他人の物』を横領する必要があり、Aが交付した出資金はこれに該当しないと思われるため、横領罪での告訴は難しい」と言われてしまった。
そこで、何とかBに対して刑事責任を追求するために、当職に相談するに至った。
解決結果
出資された金銭を目的以外の行為に消費していたBの行為が業務上横領罪に該当するとして、同罪での刑事告訴が受理された。
ポイント
本件においては、出資された金銭が横領罪の構成要件である「他人の物」に該当するかが問題となった。

当職は、まず、「使途を限定して寄託された金銭は、横領罪における「他人の物」に該当する」と判断した裁判例を確認した。
そのうえで、同判例を引用し、「AからBに対して交付された出資金は、契約上、イベント運営のための必要経費に充てることが定められていたことから、「使途を限定して寄託された金銭」といえる。したがって、当該出資金は「他人の物」に該当するため、出資金をイベント運営以外の目的に用いたBの行為は横領罪に該当する」と警察に主張した。その結果、業務上横領罪での刑事告訴が受理された。

本件のように、他の弁護士から「犯罪が成立しない」と言われた事案であっても、内容次第では刑事告訴が可能なケースもあります。お困りの際は、まず弁護士に相談することをお勧めします。

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