解決事例 CASE

詐欺罪

様々な理由でお金を貸してくれないかと要求する行為について、詐欺罪の刑事告訴が受理された案件

事件の概要
A(男性)は、オンラインゲームを通じてB(女性)と知り合い、LINEでやり取りするようになった。親交を深めていくうちに、BはAに対して、「病気のため入院費が必要になったのでお金を貸してほしい」「親族が亡くなったので、葬儀に出席するための交通費を貸してほしい」など、様々な理由でお金を貸してくれないかと要求するようになった。AはBからの要求を受け、約3か月の間で合計400万円弱を貸し付けた。
その後、AはBに対して何度も返済を督促したものの、Bは「必ず返す」と述べるばかりで、結局1円も返済されることはなかった。

そこで、Aはまずは民事での回収を考え、当職ではない別の弁護士に依頼し、同弁護士よりBに対して返済を請求する通知書を送付したところ、BはAらとの連絡を拒絶するようになってしまった。Bと連絡が取れなくなってしまったため、Aの代理人弁護士は、Bに対する「貸金返還請求訴訟」を提起したが、Bが出席することなく裁判は終了し、欠席判決が出た。
その後、Aの代理人弁護士は、欠席判決に基づきBに対する強制執行手続きを申立てたが、結局、1円も回収することができなかった。

そこで、Aは、Bの行為が詐欺に該当するものとして、Bの刑事責任を追及し、どうにかして貸金全額の回収ができないかと、当職に相談するに至った。
解決結果
BがAに対してお金を貸してくれるよう要求する行為が詐欺罪に該当することの理由について詳細に説明することで、詐欺罪での刑事告訴が受理された。その後、B代理人弁護士と交渉を重ねた結果、貸金400万円弱のほか、慰謝料、Aが支払った弁護士費用を含め約700万円の示談金を支払う内容で示談が成立した。
ポイント
Bに詐欺罪が成立するためには、Bが「Aからお金を借りた当初から、返済する意思がないにもかかわらず、これがあるかのようにAを騙していた」という事情が存在することが必要であった。
しかし、「Bが、Aからお金を借りた当初から返済する意思を有していなかった」ことの証拠は一切なかった。

そこで、まず、Bが述べていた、「入院するための入院費が必要」「親族の葬儀へ出席するための交通費が必要」といった、貸し付けを求める理由1つ1つを精査することから始めた。たとえば、「入院費が必要」と述べているにもかかわらず、Aが入院先の病院を教えるよう求めた際にはこれを拒否している点など、各理由の不自然な点を詳細に分析することで、これらの理由が嘘であることを立証し、嘘の理由により借り入れを行っていたことを証明した。
そして、『「上記貸付を求める理由が虚偽であったこと」、「1円も返済していないこと」、「Aの代理人弁護士からの連絡を一切無視している」等の事情から考えると、Bは、当初より返済する意思を有していなかったことは明らかである。したがって、BのAに対する行為は詐欺罪に該当する』と主張した。
以上の通り、BのAに対する行為が詐欺罪に該当ことの理由を詳細に説明することで、詐欺罪での刑事告訴が受理された。

告訴受理後、Bに対し、詐欺罪での告訴が受理された旨を通知する書面を送付したところ、Bに代理人弁護士が就任し、同弁護士より示談の申し入れがあった。
B代理人弁護士と交渉を重ね、最終的には、BがAに対して、貸金400万円弱のほか、今までAが前任の弁護士や当職に対して支払った弁護士費用分を含めた示談金を支払う内容で、示談が成立した。

本件のように、貸金や詐欺について民事手続では一切回収することができなかったものの、刑事告訴によって貸金全額を回収できるケースもあります。同様の被害で悩んでいる方は、ぜひ諦めずにご相談下さい。

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