解決事例 CASE

傷害罪

コンサートの警備員に腕や体を力強く掴まれた行為について、傷害罪の刑事告訴が受理された案件

事件の概要
A(40代・女性)は、アイドルのコンサートに行った際に、女性警備員Bから盗撮を行ったとの疑いをかけられ、会場から出ていくよう要求された。Aとしてはいわれのない退場要求であったため、これを拒否したところ、Bから腕や体をつかまれ、無理やり連れていかれそうになった。この時、Bは力強くAの腕や体をつかんだため、掴まれた箇所を負傷してしまった。

Aは、コンサートの翌日、整形外科を受診し診断書をもらった。そのまま警察に被害届を提出しに行ったが、被害届の受理を断られてしまった。

そこで、AはなんとかBに対して刑事責任を追求できないかと考え、当職に相談するに至った。
解決結果
BのAに対する腕や体を力強く掴むなどの行為が傷害罪に該当するとして、同罪の刑事告発が受理された。
ポイント
本件は、相談者が一度警察に行き、被害届の受理を断られている事案である。警察が受理を拒否する理由は、①「犯罪性がない」②「傷害の故意がない」③「加害者に確認したら否認している」とのことだった。また、他の弁護士が警察に刑事告訴を行った際も、同様の理由により告訴の受理を拒否されている。

当事務所では、警察が告訴の受理を拒否する理由について1つ1つ反論した。
まず、①「犯罪性がない」という点について、法的に「犯罪性がない」という概念はなく、犯罪の構成要件に該当しないか、もしくは違法性・責任阻却事由が存在しない限り犯罪は成立する。警察に対し、そのような事実がないか追及したところ、「構成要件に該当しないもしくは違法性・責任阻却事由が存在しない」という事実はなかったことを確認できたため、「犯罪性がない」という主張はあり得ないことを指摘した。
次に、②「傷害の故意がない」という点について、「傷害罪は暴行罪の結果的加重犯であり、暴行の故意があれば、傷害の故意が認められる」という判例を引用し、この点についても告訴を拒否する理由とはならないことを主張した。
そして、③「加害者に確認したら否認している」という点について、警察から詳しく事情を確認したところ、加害者を警察署に呼び出して事情聴取をしたわけではなく、電話で簡単にヒアリングを行ったのみであることが発覚した。弁護士は、警察に対し、加害者を警察に呼び出し、場合によっては逮捕状を請求した上で事情聴取を行うよう指導した。そもそも、加害者が犯行を否認していることは告訴受理を拒否する理由にはならない点についても説明した。

本件のように、1度警察に被害届の受理を拒否されても、告訴を受理しない理由1つ1つに法的な観点から反論を加えることで、刑事告訴が受理されるケースは珍しくありません。1度、拒否されたからといって諦めずにご相談いただきたい。

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