解決事例 CASE

その他

親権者の連れ去り行為について、未成年者略取罪の刑事告訴が受理された案件

事件の概要
相談者A(40代・男性)は、別居中の妻B(40・代女性)と離婚調停を行っており、調停が終了するまでの間、娘C(3歳)はAとともに生活していた。
ある日、AがCとともに車に乗って外出していたところ、Bが運転する車に追跡されていることに気が付いた。身の危険を感じたAは、車を安全な場所に駐車し、外に出てBと話し合いを行うことにした。話し合いの最中、Aが一瞬目を離した隙に、BがCを抱きかかえて自分の車に乗せ、そのまま走り去ってしまった。
Aは、当該行為が未成年者略取罪にあたるとして他の弁護士に相談したものの、「Bの行為は犯罪にはあたらないため、事件化は難しい」と言われてしまった。
そこで、Aは、Bに刑事罰を与えるとともにCを取り戻すことを目的として、当職に相談するに至った。
解決結果
Bの連れ去り行為が未成年者略取罪に該当するとして、同罪の刑事告訴が受理された。
ポイント
本件では、暴行または脅迫を用いないBの連れ去り行為が、未成年者略取罪における「略取」に該当するかが問題となった。
この点、被拐取者(連れさられた者)が低年齢の幼児である場合、暴行・脅迫を用いなくとも容易に連れ去ることができるため、暴行・脅迫がなくても、監護権者(A)の意思に反して連れ去りを行う以上、当該行為は「略取」に該当すると判断した裁判例があることをリサーチのうえ発見した。
そこで、当職は、同判例を引用したうえで、Bの行為は未成年者略取罪における「略取」に該当すると警察に主張した。

また、Bの連れ去り行為について、親権者による子の連れ去り行為に未成年者略取罪は成立するかという点も問題となった。
この点、以下の2点に該当する場合には、親権者による連れ去り行為についても未成年者略取罪は成立すると判断した判例が存在することを確認した。
・連れ去りを行った親権者の下で生活することが、子にとって必要といえる事情が存在しないこと
・連れ去りの行為態様が粗暴で強引なものであること
そこで、当職は、同判例を引用したうえで、以下の事情から本件では未成年者略取罪が成立することを主張した。
・CはAと生活することを望んでいるため、Bと生活することがAにとって必要とはいえないこと
・わざわざ車で追跡してAおよびCを降車させ、Aが目を離した隙にCを連れ去るという行為の態様は、極めて悪質で粗暴なものであること

以上2点につき適切な主張を行ったことで、未成年者略取罪での刑事告訴が受理された。

親権者による子どもの連れ去り事案についても、具体的な事情によっては未成年者略取・誘拐罪での刑事告訴が可能な場合があります。お困りの際は、まずは1度弁護士に相談することをお勧めします。

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