解決事例 CASE

詐欺罪

貸し付けを求める理由を偽ってお金を払わせた行為について、詐欺罪の刑事告訴が受理された案件

事件の概要
相談者A(70代・男性)は、以前自宅のリフォーム工事を請け負ってもらったB(60代・男性)から、「事業の資金繰りが苦しい」「取引相手に返金しないと詐欺で訴えられてしまう」などの理由により、金銭の貸し付けを求められた。
Aは、Bを助けるために、複数回にわたって合計3,000万円ほど貸し付けた。
その後、Bから100万円程度返済されたが、残額については、何度督促しても返済されることはなかった。
そのため、AはBからお金を騙し取られたと思い、警察に被害届を提出しに行ったが、「詐欺ではなく単なる債務不履行である」と言われてしまい、被害届を受理してもらえなかった。
そこで、Bに対する刑事告訴を通して残債務額を回収するために、当職に相談するに至った。
解決結果
貸し付けを求める理由を偽ってAにお金を支払わさせた行為が詐欺罪に該当するとして、同罪の刑事告訴が受理された。
ポイント
まず、警察に対して、民事不介入を理由に刑事告訴を拒める法的根拠は無いこと、民事的な側面があっても詐欺罪に該当する事実関係があれば告訴を受理しなければならない旨説明し理解させた。
また、詐欺罪が成立するためには、「Bが貸付当初から返済をする意思を有していなかった」といえることが必要であるところ、Bから100万円程度返済されていたこともあり、当初から返済意思がなかったことを立証するのは困難であった。
そこで、「BがAに対して貸し付けを求める理由(お金が必要な理由)を偽ったことにより、Aにお金を支払わさせたことが詐欺行為に該当する」という構成をとることとした。

まず、弁護士がAに対して詳細なヒアリングを行い、どのような理由でBから貸し付けを求められたのかを一つ一つ詳細に確認した。
次に、Aから確認した「Bが貸し付けを求める理由」を精査し、虚偽であると説明可能な理由のみピックアップして、告訴の対象とすることとした。
そして、ピックアップした各理由の不自然な点について詳細に説明することによって、「BはAに対して貸し付けを求める理由を偽ってお金を支払わせていた」ことを立証した。

本件のように、告訴の対象を絞り綿密に立証していくことで、詐欺罪での刑事告訴が受理されることもある。
警察からいわゆる民事不介入を楯に事件化を断られた案件についても、事実を丁寧に分析することで刑事告訴が認められるケースもあるので、諦めずにご相談ください。

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