解決事例 CASE
窃盗罪
家事代行サービス従事者が自宅から腕時計を窃取した行為について刑事告訴が受理された案件
- 事件の概要
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A(40代・男性)は自宅において家事代行サービスを利用していたところ、B(50代・女性)は同社から派遣されAの自宅に出入りしていた。ある日、Aは自宅に保管していた高級腕時計が無くなっていたことに気づき、すぐに警察に通報し、Bとの契約を打ちきった。
数日後、Aの自宅にBが来訪し、高級腕時計を返還した。Aは警察に被害届の提出を試みたが警察からこれを断られ、Bに対する刑事責任の追及を求めて当職に相談するに至った。
- 解決結果
- BがAの高級腕時計を持ち去った行為について、窃盗罪での刑事告訴が受理された。
- ポイント
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本件の特殊性は、盗品である腕時計が返還されている点である。このような場合、一見すると刑事責任が発生しないかのように思え、現に警察官もそのように誤解している節があり、警察は、盗品が返還されているのだから、事件として扱う必要がないとして微罪処分とし、Aによる被害届の提出を拒んでいた。
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加害者の「微罪処分」に納得がいかないときに取るべき方法
しかし、時計が窃取された時点で犯罪は完成しており(既遂)、盗品が返還されている事実は、犯罪成立後の事情に過ぎない。盗品が返還されたからという理由で一旦成立した犯罪が不成立となるものではないのである。
弁護士の介入により、この点についての警察の誤った理解を正し、被害者が告訴を望んでいる以上、告訴を受理して刑事事件化しなければならない法的な義務があること、それにも関わらず、刑事告訴を受理せず微罪処分とすることは違法であることを粘り強く説得し、刑事告訴受理に至った。
盗品が返還されている等の特殊事情があったとしても、諦めずに粘り強く交渉することが重要である。