解決事例 CASE

横領罪

遺産分割未了の共有財産の使い込みに対して刑事告訴を行なった案件

事件の概要
被相続人である母X(90代・女性)が死亡したところ、XにはA(60代・男性)とB(50代・男性)の二人の子がいた。Xの死亡時、X名義の預金口座に数千万円の預金が存在したが、AB間において遺産分割がなされていなかった。

被害者AがX死亡後にX名義の預金口座を調査したところ、X死亡後に預金全額が引き落とされていたことが発覚した。X名義の預金通帳及び印鑑はBが保管していたものの、AがBに預金引出しの件について問いただしても合理的な説明が無い状態であった。

Aは単独で警察に告訴に乗り込んだところ、警察から告訴を断られ、①預金引出者の特定、②同人に対する刑事処罰を求めて当職に相談するに至った。
解決結果
X死亡後のBによる預金の無断引出し行為について、横領罪(刑法252条1項)に該当することが警察署において認められ、刑事告訴が受理された。その結果、Bから引き落とした遺産全額の返還の意思表示があり、紛争は解決した。
ポイント
本件の問題点は①共有財産の使い込みについて横領罪を認めた裁判例が存在しないこと、②Bが犯人であることの証拠が乏しいことであった。

① 共有財産の使い込みについて横領罪を認めた裁判例が存在しないことについて

前例踏襲の特徴が強い裁判の傾向からすると、同種の事例で有罪判決が無いことは深刻な問題であった。具体的には、横領罪は委託者と受託者との間にある委託信任関係に裏切る点に犯罪としての本質が求められるところ、委託者たるXが既に死亡しているので、委託信任関係が観念できないという問題である。

この問題点を突破するため、証拠関係を徹底的に見直し、BからAに対するメールのうち、BがXから財産の処分を一任されていた、という一文を見つけ出し、X死亡後もBがXの財産を委託信任されていた事実の証明に成功した。

② Bが犯人であることの証拠が乏しいことについて

この点については、X名義の引き落としがされた場所を全て調査したところ、いずれも、Bの居住地及び勤め先の近隣のATMから引出しがされている事実が発覚し、Bが犯人であることの証明に成功した。

本件は、弁護士大山が介入する前、主に①の理由、すなわち前例が無いという理由で警察に告訴を断られていた案件であるが、上記のとおり、証拠関係を徹底的に調査することで法的な問題点の克服に成功している。このように警察に一旦告訴を断られた案件についても、証拠面や理論面のフォローにより告訴は可能であることを知って頂きたい。

警察に告訴を断られた案件についても是非ご相談ください。

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