解決事例 CASE

児童ポルノ法違反

未成年者の性的画像をSNSに投稿した行為について刑事告訴が受理された案件

事件の概要
A(10代・女性)はB(10代・男性)と交際関係にあった。Aは、Bとビデオ通話していた際、Bより下着を脱ぐように命じられ、下着を脱いだところ、Bはその姿を無断で撮影した(以下「本件画像」という。)。Bは、本件画像をSNSに投稿した。

Aの両親はBの行為について刑事責任を追及すべく、複数名の弁護士に刑事告訴の相談をしたが、いずれも本件画像には性器が写っていないため刑事告訴は無理であると依頼を断られている状況であった。A及び両親は弁護士をつけずに警察署に相談に行ったところ、告訴を断られた。なお、その際、担当警察官はAが泣くまで怒鳴るなどしており、頑なに刑事告訴を受理しない姿勢を示していた。そのような状況で、A及び両親は、①本件画像の削除、②刑事責任の追及を求め、当職に相談するに至った。
解決結果
Bが本件画像をSNSに投稿した行為について、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条2項、5項及び6項に該当するものとして刑事告訴が受理された。その結果、Bの代理人弁護士から示談の申し入れがあり、高額な示談金の支払い、本件画像の破棄、高額な違約金を条件として示談に応じ、事件は無事に解決した。
ポイント
まず、当職からBに対して法的責任を追及する旨記載した通知文を送付したところ、Bの弁護人は、本件画像の投稿が児童ポルノ提供罪、児童ポルノ製造罪のいずれにも該当しないとして、法的責任が無いというスタンスであり、民事責任、刑事責任の追及が極めて困難な状況であった。

そこで当職は、まずは刑事告訴を受理させ、相手方を追い込み状況を有利にしたうえで民事責任を追及することとした。前記のとおり、本件画像には性器が写されていないため、次のような問題がある。すなわち、児童ポルノ禁止法第2条3項3号に規定される「児童ポルノ」について、「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているもの」であることが要件となるところ、同要件を満たさない可能性があった。しかし、この点、同法の制定趣旨から、性器のみではなく、性器の周辺部についても含めて解釈すべきであり、本件画像が撮影された経緯などに照らし、児童ポルノに該当するとの理論を展開し、何とか刑事告訴の受理に性交した。

刑事告訴が受理されると、Bの弁護士の態度が一変し、示談の申し入れをしてきた。ところが、示談の条件について協議を行っていた最中、検事により不起訴処分がなされた。検事による不起訴処分がなされると、本件について刑事責任が追及される可能性が無くなる。そうすると、刑事責任を背景とした有利な交渉が継続できなくなり、せっかく獲得しかけた示談条件が帳消しになるという深刻なリスクが生じてしまった。

そこで、速やかに、前記不起訴処分に対して、検察不服審査の申立てを行い、その旨Bの弁護士に告げ、加えて、民事裁判を起こす予定があることを説明した。そうしたところ、提示されていた示談条件は維持され、同条件のまま示談が成立し、無事に事件は解決した。

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