解決事例 CASE
陳述等拒否の罪
財産開示手続に出頭しなかった者に対して刑事告発が認められた案件
- 事件の概要
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A(50代・男性)は車を運転していた際、B(30代・男性)が運転する車から衝突を受け、裁判の結果、BはAに100万円を支払うこととなった。ところが、裁判後もBからの支払いはなく、連絡すらも取れない状況にあった。Aはやむを得ず、Bを相手方として財産開示手続(民事執行法197条2項)を起こし、裁判所において財産開示手続きを実施する決定がなされたが、Bは同手続きにも出頭しなかった。
AはBが財産開示手続に出頭しなかった行為について、刑事責任を追求すべく、別の弁護士をたてて刑事告発を行なったが不受理となり、当職に相談するに至った。
- 解決結果
- Bが財産開示手続きに出頭しなかった行為について、陳述等拒否の罪に該当するものとして刑事告発が受理された。
- ポイント
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陳述等拒否の罪の構成要件について、「執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者について、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する旨規定されおり(民事執行法213条1項5項)、犯罪の主体を裁判所からの「呼出しを受けた」者に限定している。
一方、本件では、裁判所からBに対して財産開示期日が開かれる旨の期日呼出状を送付しているものの、Bが住民票上の住所から夜逃げしており、同呼出状がB宛に到達しておらず、「呼出しを受けた」に該当しない可能性があり、警察からもその点の指摘があった。
しかし、財産開示手続の制度趣旨から、「呼出しを受けた」者の解釈について、現に呼出状を受領しながら出頭しない者の他、夜逃げなど、初めから出頭する意思の無い者も含めて考えるべきであると説得的に理論を展開し、かつ、そのような判断は最終的に裁判官において判断すべき事柄であって警察の独断で決定して良い事柄では無い旨強く抗議し、最終的に告発の受理が認められた。
本件は別の弁護士が告発に赴いたものの警察から告発を認められなかった案件である。法律の専門家である弁護士が告発に赴いても失敗するケースも多々あります。
弁護士も能力の差があるのは当然のことであり、一人の弁護士に依頼して告訴・告発に失敗した場合、別の弁護士により告訴・告発ができることもあります。
当職は、別の弁護士が告訴・告発をしたが失敗した、というケースを多数扱っており、そのような案件についても告訴・告発を成功させています。別の弁護士に依頼して失敗しても諦めないでください。