解決事例 CASE
営業秘密侵害罪
営業秘密の持ち出しについて不正競争防止法で刑事告訴が認められた案件
- 事件の概要
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A(40代・男性)は建築事務所を経営する一級建築士であるが、勤務態度に問題のある従業員B(30代・女性)を解雇したところ、Bは、Aが他社と秘密保持契約(NDA)を締結したうえで保有する秘密情報をAに返還しないまま退職した。
また、AはBより解雇は不当であるとして損害賠償の支払いを求められていた(別件)。
AはBからの①秘密情報の返還、②Bに対する刑事責任の追求を求め、当職に相談するに至った。
- 解決結果
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持ち出された情報が不正競争防止法2条6項に規定する「営業秘密」に該当するものとして、同営業秘密を無断で持ち出した行為について、同法21条1項3号ロ「営業秘密侵害罪」に違反するものとして刑事告訴を行い、同告訴は受理された。
その結果、無事に秘密情報の返還に成功し、更に、請求されていた不当な損害賠償(別件)についても全て放棄させた。
- ポイント
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本件の問題は、Bが何らかの秘密情報を持ち出していることは判明しているが、具体的にどの情報を持ち出しているかが不明な点にあった。刑事責任の追求には犯罪事実を特定する必要があることとの関係上、この点は犯罪成否に直結する深刻な問題であった。
データフォレンジックによりBが在籍時にしていた全データ処理を洗い出す方法があったが、事務所の運営を数日ストップすることができずに、その方法は見送られた。
苦肉の策であったが、Bの代理人弁護士に対して、Bが保有するデータの買取りを希望すること、その為に保有するデータの一覧を提出して欲しい旨の申し出を行い、Bの代理人弁護士をしてBが保有するデータの一覧を提出させ、これをもって自白証拠とした。