最終更新日:2024.01.24
「再開発」にはどのような種類があるのか?弁護士が徹底解説
全国のターミナル駅の周辺などを中心に行われる「再開発」には、どのくらいの種類があり、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では再開発の種類と特徴、知っておきたい基礎知識などについて、弁護士が分かりやすく解説します。
目次
そもそも「再開発」とは?
「再開発」とは、過去に住宅や商業施設など建物がつくられた地区を新しく開発(作り直し)して、より効率的で安全快適な土地へ改善し価値を高めることをいいます。
住宅地や商業地だけでなく、リゾート地や工業団地・農業地なども老朽化にともない再開発が行われます。
しかし、もっとも多いのはやはり人口や建物の多い都市部での再開発です。
都市部での再開発は、今ある市街地を計画的に作り変えることで過密な建物や公共施設不足を解消し、都市の機能や環境をより良くする目的で行われます。
小規模な民間の再開発から、区域一帯の土地を統合し高層ビルや複合施設に建て替える大規模な再開発まで、都市再開発の規模はさまざまです。
都市再開発事業の代表的な種類
都市部での再開発には数種類の授業があり、適用される法律も事業によって異なります。
【都市再開発の種類と適用される法律】
市街地再開発事業 | 都市再開発法 |
---|---|
土地区画整理事業 | 土地区画整理法 |
防災街区整備事業 | 都市計画法 |
優良建築物等整備事業 | なし |
マンション建替事業 | なし |
上記のうち、都市での再開発でもっとも多い手法は「土地区画整理手法」と「市街地再開発手法」です。
以下にそれぞれの特徴を紹介します。
都市の再開発の種類で多い手法①「土地区画整理手法」
「土地区画整理事業」は、土地区画整理法に基づいて区画を平面的に整理し、防災対策や渋滞の緩和、環境保全などを行い、より住みやすい街づくりを目指します。
過去、都市計画を持たずに発展してきた地域は、道路や排水施設の不備・交通渋滞・非効率な公共施設の配置など多くの問題点を抱えていることがあります。
そこで、既存の区画を仕切り直してより住みやすく安全で便利な街にするために、その区画の住民や店舗オーナーに土地の一部を提供(減歩)してもらい、道路や公園などの公共用地に作り替えたり、土地の一部(保留地)を売却して、家屋の移転補償や整備工事などの事業資金に換え、区画を整えていきます。
区画整理が終われば、居住者には新しい土地(換地)が割り当てられます。
▼土地区画整理事業についてさらに詳しい解説はこちらの記事もお読みください
土地区画整理事業とは何か – 弁護士が再開発エリアの立ち退き料を増額!
都市の再開発の種類で多い手法②「市街地再開発」手法
土地区画整理手法では、平面的に土地を整理していきますが、平面の土地では面積に限りがあります。
人口や会社が増えてきた地域では、都市再開発法に基づき建物の高層化を行うことで、土地面積を増やし空間を立体的に活用する「市街地再開発事業」が行われます。
具体的には、古い住宅や商店が密集している地区の敷地を統合して建物を取り壊し、高層ビルや公園・街路などの公共施設や防災施設を作るといった内容です。
事業費は高層ビルの新築で生まれたスペース(保留床)を企業や個人に売却した資金と補助金等でまかないます。
市街地再開発事業の2つの種類
市街地再開発はさらに第一種と第二種に分けられ、そのうち全国で多く行われているのは「第一種市街地再開発」です。
市街地再開発事業の基本的な流れは次の3つの段階で進みます。
- 敷地を共同化し、高度利用することにより、公共施設用地を作りだす。
- 従前権利者の権利は、原則として等価で新しい再開発ビルの床に置き換える(権利床)。
- 高度利用で新たに生み出された床(保留床)を処分し、事業費に当てる。
第一種と第二種の市街地再開発の違い
第一種と第二種の市街地再開発事業は以下のような点が異なります。
第一種市街地再開発 | 第二種市街地再開発 | |
対象地域の要件 | 高度利用地区、都市再生特別地区または地区計画、防災街区整備地区計画もしくは沿道地区計画の区域内であること耐火建築物の割合が建築面積で全体の概ね1/3以下、又は耐火建築物の敷地面積の割合が宅地面積の概ね1/3以下であること土地の利用状況が著しく不健全であること 土地の高度利用を図ることが都市機能の更新に資すること | 左に加え、 0.5ha以上であること災害発生のおそれが多いか、又は緊急の施行を要する地区であること |
施工者 | 個人施行者市街地再開発組合再開発会社(ディベロッパー)地方公共団体都市再生機構道路公団地方住宅供給公社 など | 左のうち、個人施行者と市街地再開発組合は含まない |
建物・土地の権利調整方式 | 権利変換方式 | 管理処分方式(用地買収方式) |
このうち「建物・土地の権利調整方式」は、第一種と第二種で大きく内容が異なります。
第一種市街地再開発の目的と、土地建物の権利調整方式
第一種市街地再開発では、権利者(住民や店舗も持ち主など)への対応として「権利変換方式」が取られ、もともとの住民や店舗オーナーは、再開発後の新しいビルに入居する(権利床を受け取る)ことができます。
▼第一種市街地再開発事業についてさらに詳しい解説はこちらの記事もお読みください
第一種市街地再開発事業とは何か – 弁護士が再開発エリアの立ち退き料を増額!
第二種市街地再開発の目的と、土地建物の権利調整方式
第二種市街地再開発は、おもに緊急性かつ公共性の高い事業をスムーズに進めるために採用されます。
第一種市街地再開発事業でとられている権利変換方式は、個々の権利調整に時間がかかり再開発が進まないというデメリットがあるため、土地収用法に基づき施行者が地区内の建物・土地等を一旦すべて買収または収用する「管理処分(用地買収)」方式を取れるようになっています。
土地を提供した住民や店舗の持ち主は、移転や引越などに必要な費用として「立退料」を受け取ります。
▼第二種市街地再開発事業についてさらに詳しい解説はこちらの記事もお読みください
第二種市街地再開発事業とは何か – 弁護士が再開発エリアの立ち退き料を増額!
再開発の種類について心配なら、まず弁護士に相談を
再開発の種類は数多く、まとめると以下のように表すことができます。
この中で、市街地にお住まいの方やお店・土地などの不動産を持っている方にもっとも関係が深いのは、都市再開発法に基づく「市街地再開発」のうち「第一種市街地再開発」だといえるでしょう。
しかし、いま暮らしている街が再開発エリアになるのは多くの人にとって一生に一度あるかないかの経験で、詳しい知識がないのも当然といえます。
「自分たちのエリアの再開発がどれに当てはまるのか、説明を聞いたがよく分からない」「必ず立ち退かなくてはいけないのか?」など、さまざまな疑問が浮かんでくることでしょう。
- 実際に再開発が施行される場合、わが家はどうなってしまうのか?
- 再開発の担当者が訪ねてきたらどう対応すればよいか?
- 立退料はいくら受け取れるのか?
……といった疑問は、どれも法律の知識があればベストな対応を取ることができます。
少しでも疑問やお悩みがあれば、まずは法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。
特に再開発は専門性が高く、取り扱った経験のある弁護士は限られている分野のため、再開発について注力している弁護士にご相談されることをお勧めします。
リード法律事務所では、再開発についてのさまざまな疑問について経験豊富な弁護士が無料で相談を受け付けています。お気軽にご連絡ください。