最終更新日:2024.01.24
再開発の立ち退き交渉はどれ位の期間がかかるか
「立ち退き」とは、建て替えや区画整理などにともなって、現在の住居や店舗などを明け渡してほしいといわれることです。
地権者(家やお店の持ち主・入居者)は、元の場所から立ち退くかわりに新しいビルに入居したり、「立退料」という金銭を受け取って地区外に引っ越したりします。
このとき、満足な金額の立退料を受け取れたり新しいビルで良い場所に入居できたりすれば問題ないのですが、提示された金額や内容に納得がいかないことも往々にしてあります。
そこで、納得のいく内容になるまで交渉を続けるわけですが、それには通常どれくらいの期間がかかるのでしょうか?
今回は、再開発の対象となりこれから立ち退き交渉を行う必要のある方や現在交渉中の方へ向け、再開発の立退料交渉に詳しい弁護士が、交渉にはどのくらいの期間がかかるのか、交渉のポイントなどについて解説します。
目次
再開発の立ち退きの特徴
立ち退きには一般的な(任意の)立ち退きと、再開発の立ち退きがあります。
一般的な立ち退きとは、一般住宅や小規模なビルのオーナーが、建て替えや閉業のため物件の入居者に退去を頼むようなものをいいます。
「都市再開発法」に基づく立ち退きは、再開発業者や行政が連携して一帯に大型のビルを建設し、都市空間の有効活用を図るため、地域の住民や店舗経営者などの全員に対して求めるものです。
▼詳しくはこちらの記事もご覧ください
都市再開発法に基づく立ち退きと、任意の立ち退きの違いとは
(※公開後にリンクを設置下さい)
一般の物件では、立ち退きしたくない場合は拒否(いわゆる居座り)が可能ですが、都市再開発では居座りは通用しません。
法で定められた期限を過ぎても交渉がまとまらず居座っていると、行政による強制執行(家を壊されたり追い出されたりする)ため、次の2つのどちらかを選ばなくてはいけないのです。
- 新しいビルへ入居する(権利変換)
- 立退料を受け取り、地区外で引っ越しや移転する
▼自分の土地や入居している家・店が再開発で立ち退き対象になった時の選択肢について、詳しくはこちら
再開発の立ち退き対象になったときの選択肢はなにがある?【地権者/貸借人別】
(公開後に内部リンクを設置して下さい)
再開発の立ち退き交渉にはどのくらい時間がかかる?
一般的な(任意の)立ち退き交渉にかかる時間は、さいしょに「立ち退いて欲しい」という連絡が来た時から数えて約1~2年と言われています。
それに対し、都市再開発の立ち退き交渉は早くて3年、長いもので10年かかることもあります。
なぜそんなに時間がかかるのか、それには以下のような理由があります。
- 再開発では区域内のすべての権利者と合意する必要があるため
- 再開発の立退料には相場がなく、1件ごとに個別に決定するため
- さまざまな書類による手続きがあり、それぞれの締切を待って次へ進むため
- 反対運動などで進行が遅れるケースもあるため
長期に渡る交渉で疲れてしまい、「もうこの内容でいいか……」とサインしてしまいたくなることもあるでしょう。
しかし、次のようなポイントを押さえて交渉に臨めば、いたずらに長引かせることなく、早期に納得のいく内容で交渉がまとまる可能性が高まります。
再開発の立ち退き交渉のポイントは
都市再開発の立退料に関する交渉は、おもに「再開発組合」の交渉担当者との間で行います。
再開発組合とは、市街地再開発事業の施行区域内のすべての地権者で組織される法人で、地権者の代表者や再開発事業者などが理事となり事業を執行します。
このときに、十分な立退料を受け取るためのポイントは以下の3点です。
- 手続きの期限を知っておく
- 補償の根拠を具体的に示す
- 専門家を活用する
ポイント1:各手続きの期限を知っておく
都市再開発のうち多くの割合を占める「第一種市街地再開発事業再開発」では、それぞれの段階で手続きの期限が定められています。
中でも、再開発組合設立が正式に認可されてから30日間は、新しいビルに入居する(権利変換)か、立退料を受け取って地区外に移転するか、2つに1つを選ぶタイムリミットです。
組合側は事業計画に沿って滞りなく事業を進めるため「早く結論を出して下さい」と迫るかもしれませんが、まだ決めかねているのであれば30日目までは応じる必要はありません。
しかし30日が過ぎた後も交渉がこじれて立ち退きしないままでいると、最後は都道府県知事が明渡しの代執行(強制的に追い出すこと)を行い、望ましい立退料額を交渉するチャンスがなくなってしまいます。
代執行に至るまでは少なくとも1年程度の期間がかかります。組合側もできるだけそのような事態を招かないよう、立退料の増額を申し出てくることもありますので、この期間はできるだけいつも連絡が取れるようにしておくと良いでしょう。
ポイント2:補償額の根拠を具体的に示す
再開発の立退料の価格は法的に決まっているものではなく、実情に応じて適正な価格を決めていきます。
最初に再開発組合の担当者から立退料を提示されますが、その金額に納得がいかない場合も「もう少し高くしてほしい」「安すぎる」などと漠然とした要望のみでは交渉が進みません。
立退料を算定するための要素は非常に多くありますが、その中でどの要素について不満があるのかをはっきりと伝えるのがポイントです。
代表的な要素には以下のものが挙げられます。
- 所有権や賃借権の対価としての補償(対価補償金)
- 営んでいる事業の明け渡しによって減少した収益の補償
- 営んでいる事業が明け渡しにより休廃業することの補償
- 明け渡しや移転の際に生じる移転費用
- 仮住居や仮営業所のための費用
- 移転先と移転前の賃料の差額
- 借地権や借家権の価格
これらを1つ1つ丁寧に検討し、実情に即していない点をピックアップし、具体的な金額や数字も添えて立退料の増額を求めるとよいでしょう。
ポイント3:再開発の立ち退き交渉に詳しい弁護士などの専門家に相談する
このように、再開発の立退料交渉においては、各手続きや申し立ての期限を把握し、立退料の算定が適正かどうかを見極めることが重要ですが、こういった専門知識を一般の方が仕事や生活を送りながら身につけるのはかなり大変でもあります。
そこで、法律の専門家である弁護士、なかでも再開発の立ち退きに特化した経験や実績を持つ弁護士に相談することで、交渉を大幅に有利に進められる可能性が高まります。
再開発の立ち退き交渉に多数の実績を持つリード法律事務所では、過去にさまざまな依頼人の立退料増額に成功した事例がありますので、その一部を紹介します。
事例1)当初の約13倍、2億5千万円以上の増額例
再開発エリアで賃貸業を営むSさんに提示された立ち退き料は、弁護士が介入することで当初の13.27倍、約2億5千万円以上の増額となりました。
事例2)当初の約3倍、1億5千万円以上の増額例
再開発エリアでT社(物販店)に提示された立ち退き料は、弁護士が介入することで当初の約3倍、約1億5千万円以上の増額となりました。
事例3)当初の約4.5倍、7千万円近い増額例
再開発エリアでO社の飲食店に提示された立ち退き料は、弁護士が介入した結果、最終的に当初提示額の4.47倍、6,991万円の増額となりました。
リード法律事務所では、再開発の立ち退きに関する交渉では、初回相談はもちろん、増額が実現するまでは弁護士費用を無料としています。
「自分の居住地が都市再開発の対象になりそうだ」
「立ち退きするか、権利変換か、早く選んでくれと言われている」
「提示された立退料に不満があるが、どう交渉していいのか分からない」
といったことでお困りなら、まずはぜひ気軽に相談してみて下さい。