リベンジポルノとは?違法となる行為や損害賠償についても解説
リベンジポルノ防止法とは
リベンジポルノ防止法とは、他人の性的な画像や動画を、撮影された本人の同意なくインターネット上で公開する行為を規制するための法律です。正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます。規制に違反する行為は犯罪となり、懲役や罰金といった刑罰も定められています。
なお、リベンジポルノ防止法で規制の対象とされているのはリベンジポルノに限らないことに注意が必要です。そもそもリベンジポルノとは、別れた元交際相手や元配偶者に対する腹いせや嫌がらせ、復讐の目的で性的な画像や動画を不特定多数の人に公開することです。しかし、リベンジポルノ防止法では復讐等の目的がない行為も、元交際相手や元配偶者以外の第三者の行為も規制の対象とされています。
違法となる画像や動画
この法律で違法とされている画像や動画をひとことで言うと、人の性的な関心を引く画像や動画ということになります。具体的には、以下のような画像や動画が違法とされています。
- 性交渉の状況を撮影したもの
- 性交類似行為(手淫や口淫など)の状況を撮影したもの
- 性器や肛門、乳首を触る行為を撮影したもの
- 性的な部位(性器、性器の周辺、胸、尻)を裸の状態で撮影したもの
また、これらの画像や動画を保存したUSBメモリやCD-ROM、DVD等の記録媒体も規制の対象とされています。法律の中では、これらの画像や動画のことを「私事性的画像記録」、記録媒体のことを「私事性的画像記録物」と呼んでいます。
なお、撮影された本人が第三者に見られることを知りながら撮影に同意した場合は、規制の対象外とされています。したがって、正規の方法で作成したアダルト動画像などの作品を販売することは違法ではありません。
恋人同士や夫婦間で性的な画像や動画を撮影する場合、撮影することに同意していても、通常は第三者に見られることまでは認識していないはずです。そのような性的画像や動画を本人の許可なくネット上にアップすることは違法であり、処罰の対象となります。
違法となる行為と刑罰
リベンジポルノ防止法で違法とされている行為と刑罰は、以下のとおりです。
公表罪
公表罪とは、簡単にいうと性的な画像や動画をネット上の掲示板サイトやSNSなどにアップすることで成立する犯罪です。インターネットを利用して私事性的画像記録(物)を不特定多数の人に提供したり、公然と陳列すると公表罪が成立します。
ただし、第三者がその画像や動画を見て、撮影された人が誰なのかが特定できない状態であるときは処罰の対象外とされています。
公表罪が成立すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金の刑に処せられます。
なお、公表罪は親告罪とされており、被害者からの告訴がなければ犯人が処罰されることはありません。
提供罪
提供罪とは、簡単にいうと性的な画像や動画を誰かによって拡散させる目的で、LINEやメールなどで少数の人に送信することで成立する犯罪です。
自分で不特定多数の人に拡散しなくても、拡散させる目的でインターネットを利用して私事性的画像記録(物)を他人に提供すると提供罪が成立します。
提供罪が成立すると、1年以下の懲役または30万円以下の罰金の刑に処せられます。
なお、公表罪の場合と同様に、撮影された人が誰なのかを第三者が見て特定できない状態であるときは処罰の対象外とされていることと、被害者からの告訴がなければ犯人が処罰されることはありません。
リベンジポルノ防止法についてよくあるご質問
Q.リベンジポルノ防止法で警察に相談しても動いてもらえません。どうすればいいですか。
A.刑事告訴をしましょう。
警察は人的資源が限られていることもあり、犯罪被害の相談を受けても、差し迫った身の危険が認められなければなかなか動いてくれない傾向にあります。特に、リベンジポルノ防止法違反の罪は被害者からの告訴がなければ犯人を処罰することができないため、相談を受けただけでは動いてくれないケースも数多くあります。
しかし、告訴をすれば警察は捜査を開始する義務を負うので、動いてくれるようになります。告訴をするには、告訴状という書類を作成し、証拠とともに警察へ提出します。
Q.リベンジポルノ防止法で刑事告訴すれば加害者を逮捕してもらえますか。
A.必ずしも逮捕してもらえるとは限りません。しかし、刑事告訴をすれば加害者が処罰される可能性は高いといえます。
法律上、犯人が罪を行ったことが明らかな場合でも、逮捕せずに捜査を行うことが原則とされています。このような捜査のことを在宅捜査といいます。リベンジポルノの加害者に特段の前科がない場合は、在宅捜査によって数十万円の罰金刑が科される可能性高いです。
Q.元彼が裸の写真があることを楯に復縁やお金を要求してきます。このような行為も違法ですか。
A.違法です。ただし、リベンジポルノ防止法違反ではなく、刑法上の恐喝罪や脅迫罪が成立する可能性があります。
これらの罪は親告罪ではありませんが、元彼の処罰を求めたい場合は刑事告訴をした方がよいでしょう。
Q.リベンジポルノ防止法で加害者に慰謝料も請求できますか。
A.請求できます。ただし、リベンジポルノ防止法には慰謝料の金額や請求方法などは定められていません。慰謝料の請求は民法や民事訴訟法にしたがって行うことになります。
具体的には、まず加害者と話し合いを行い、和解ができれば合意した金額を支払ってもらえます。話し合いができない場合や、話し合っても和解できない場合は、裁判を起こすことになります。
リベンジポルノ被害の慰謝料の相場は50万円~100万円程度ですが、事案の内容や加害者との交渉によって具体的な金額は異なってきます。
慰謝料請求をお考えの場合は、リード法律事務所へご相談ください。
Q.リベンジポルノの被害を防ぐためにはどうすればいいですか。
A.最も重要なことは、そもそも性的な画像や動画を撮らせないことです。すでに撮られている場合は、相手と別れる際に必要以上に傷つけないように配慮することも大切です。
別れた後は基本的にコントロールできませんが、万が一、性的な画像や動画をネットにアップされたときは早急に削除請求や刑事告訴、慰謝料請求などの対処法をとることです。放置していると広く拡散されてしまい、深刻な被害が生じる可能性が高くなるので、お早めにリベンジポルノ被害相談センターまでご相談ください。