横領被害にあったら

最終更新日:2024.07.22

横領で刑事告訴する流れ・示談のタイミングを被害者側弁護士が解説

横領の被害に遭い、刑事告訴をお考えでしょうか?

被害者自身が警察に出向いても、なかなか刑事告訴を受理してもらえません。弁護士に依頼すれば、告訴が受理されやすくなるだけでなく、加害者がプレッシャーを感じて示談に伴い返金してくれる可能性が高まります。

とはいえ、刑事告訴がどのような流れで進むかわからず、一歩を踏み出せない方もいるでしょう。

この記事では、横領で刑事告訴する際の流れや示談のタイミングなどについて解説しています。横領被害に 遭って刑事告訴を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

そもそも横領で刑事告訴するメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

参考記事:従業員による業務上横領は刑事告訴すべき?メリット・デメリットを解説

横領・業務上横領で刑事告訴する流れ

横領罪・業務上横領罪での刑事告訴は、被害者自身でも行えます。しかし「証拠が不十分」「横領罪が成立しない」「民事不介入」などと理由をつけられて、警察が告訴を受理してくれないケースが多いです。

そこで、弁護士に依頼して告訴してもらうのが有効になります。当事務所における流れや要する期間の目安は以下の通りです。あくまで一般的な流れであり、個々の事情によって変わる場合があります。

弁護士への相談・依頼

まずはお電話・LINE・問い合わせフォームを通じてご連絡ください。内容を伺ったうえで面談日時を調整いたします。対面での面談のほか、オンライン・電話での相談も可能です。

相談の際には事情をヒアリングしたうえで証拠を確認します。事案に応じて必要な物を事前にお伝えしますので、「何を持っていけばいいかわからない」という方でも問題ございません。

伺ったお話を踏まえて、弁護方針をお示しします。横領の場合には民事・刑事いずれの手段も考えられますので、それぞれのメリット・デメリットとともに解決方法をご提案いたします。ご依頼いただいた際の費用についても説明しますので、ご安心ください。

弁護方針と費用に納得いただけましたら、契約の手続きに進みます。契約しない限り、依頼にはなりません。もちろん、相談だけでご依頼いただかなくても構いません。持ち帰って検討する、他の弁護士と比較するといった方法も可能です。強引に契約はしませんので、まずはお気軽にご相談ください。

証拠の精査・告訴状の作成

契約後、着手金をお支払いいただきましたら活動を開始いたします。集めた証拠を精査したうえで、告訴状を作成するのが主な活動内容です。

告訴状が完成するまでの期間は、通常2〜3ヶ月程度になります。別途特急料金をいただいた場合には、2週間程度での作成も可能です。

警察への告訴状提出

告訴状が完成したら、警察に一緒に出向いて提出します。警察に行くのは何かと不安かもしれませんが、弁護士が同席しますのでご安心ください。

警察に1〜2回相談して受理されるのが一般的です。その場で受理される場合も、1〜2ヶ月経って受理される場合もございます。

加害者との示談交渉

告訴が受理されたら、その旨を加害者に書面で通知します。

告訴の事実を知ると、刑罰を科されるのを避けるために、被害額を返金して示談しようとする加害者も多いです。加害者側が示談交渉を申し出てきたときには、弁護士が窓口となって対応いたします。

交渉がまとまった際には、条件をまとめた示談書を作成します。条件面で納得できなければ、無理に示談する必要はございません。示談のタイミングについては後述します。

検察による起訴・不起訴の決定

告訴が受理されると、警察・検察が捜査を進めてくれます。一般人では調査するのが難しい点についても、国家権力を利用した捜査が可能です。

捜査が終わると、起訴して刑事裁判にするか、不起訴として刑罰を科さないかを検察官が決定します。検察官の判断を左右するのは、被害の大きさや示談の有無などです。

処分の決定までは、逮捕・勾留されているときには20日程度、在宅で捜査がなされているときには半年から1年程度かかります。

刑事裁判

検察官が起訴すれば、刑事裁判になります。最終的には裁判官により判決がくだされ、加害者の刑罰が決定します。

起訴されてから有罪判決が出るまで、争いがない事件であれば1〜2ヶ月程度です。加害者の弁護人が横領の事実を否定するなどして激しく争ったときには、長期化します。

横領で示談できるタイミング

告訴されたと知った加害者が、刑罰をおそれて示談を申し出てくるケースがあります。示談しやすいタイミングとしては、以下が挙げられます。

告訴状受理直後で警察が捜査しているとき

まず、告訴状が受理された直後で、警察が捜査を始めたタイミングで示談を申し入れられる場合があります。弁護士からの通知によって告訴を知り、すぐに連絡してくるケースです。

ただちに申し出てくるのは「示談して刑罰を免れたい」という加害者の気持ちの現れと考えられます。もちろん無理に応じる必要はありませんが、有利な条件で示談できる可能性があります。

送検され処分が決まるまでの間

事件が警察から検察に送られ、検察官が起訴するかどうかを決定するまでの間に示談するケースもあります。

起訴されて刑事裁判になれば、ほぼ確実に有罪判決がくだされ、加害者に前科がつきます。前科がつくと、社会的・経済的な不利益が非常に大きいです。

前科を避けるために、起訴される前の段階で示談し、不起訴処分を獲得しようとする加害者は多いです。家庭を持っている、正社員であるなど、前科に伴う不利益が特に大きい加害者であれば、高額の金銭を支払ってでも示談しようとするケースがあります。

起訴され刑事裁判になった後

多くのケースで示談するのは起訴前ですが、起訴されて刑事裁判になった後で示談する場合もあります。

特に、執行猶予がつくか実刑になるかが微妙なケースでは、起訴後でも示談しやすいです。示談をすれば執行猶予がついて刑務所に入らずに済むとなれば、加害者が「多少被害者に有利な条件でも構わないから示談したい」と考える場合があります。

横領被害者が刑事告訴するメリット

横領の被害を受けた方が刑事告訴をするメリットとしては、以下の点が挙げられます。

加害者に刑罰を与えられる

刑事告訴をすれば、警察・検察が捜査を進めてくれ、加害者に刑罰を与える道が開かれます。

横領は、刑事告訴をしなくても起訴して刑罰を科せる犯罪です。しかし、ひそかに実行される犯罪であるため、通常は何もしないと部外者には明らかになりません。刑事告訴により捜査機関に被害の事実を伝えると、捜査対象にしてもらえます。

横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。罰金刑はなく、刑事裁判になれば必ず懲役刑が科されます。業務上横領罪であれば「10年以下の懲役」であり、より重いです。

横領の被害額が400万円程度以上と大きい場合には、執行猶予がつかない実刑判決がくだされる可能性が高くなります。加害者に厳しい制裁を科したいのであれば、刑事告訴が有効な手段です。

示談により返金を受けられる

刑事告訴をきっかけに加害者が示談を申し入れてきて、返金を受けられるケースもあります。

告訴された事実を加害者が知ると「刑罰を科されるかもしれない」と考えるようになります。加害者が刑罰を避けるための近道は、被害者に返金をして示談することです。

とりわけ、横領額が大きく起訴されれば実刑判決が確実なケースでは、刑務所に入るのを避けるために加害者が示談に積極的になりやすいです。本人がお金を持っていなくても、親族に借りるなどして何とかして用意しようとするケースがあります。

また、執行猶予がつくとしても、起訴されて有罪判決がくだされれば前科になります。家庭が崩壊する、解雇されて再就職が難しくなるなど、前科がつくことによる社会的・経済的な不利益が大きいケースでは、加害者が返金してでも示談を希望しやすいです。

刑事告訴は、本来は刑罰を求めるための手段ですが、結果的に示談により被害を回復できる可能性も十分あります。

横領されたお金が返ってきやすいケースについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考記事:横領されたお金は返ってくる?返済されやすいケースと方法を弁護士が解説

再発を防げる

社内での横領の場合には、刑事告訴により再発防止につながります。

告訴をして刑罰を求めるインパクトは大きいです。加害者のみならず、他の従業員に対しても、横領を許さないとする会社の姿勢を示せます。結果的に、今後の不正行為の抑止につながるはずです。

従業員の中には「横領は大した問題でない」と考える人がいるかもしれません。告訴という厳しい措置によって、不正を認めないというメッセージを伝えれば、再発防止の効果が期待できます。

横領被害者がすべきこと

横領被害に遭った際は、すぐに証拠を収集・保全して、弁護士に相談しましょう。社内での懲戒処分や再発防止策もとってください。

ここでは、横領の被害者がすべきことを簡単にご説明します。より詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

参考記事:業務上横領が起きたらどうすればいい?会社の対応について弁護士が解説

迅速な証拠収集・保全

横領の疑いが生じたら、すぐに証拠を集めてください。

いかなる手段をとるにせよ、証拠は不可欠です。時間が経つと証拠が消えるおそれがあるため、迅速な行動が大事になります。

実際に何が証拠になるかはケースバイケースです。横領の証拠になり得る物の例としては、以下が挙げられます。

  • 横領に利用された書類(契約書、請求書、発注書、領収書など)
  • 口座の入出金記録
  • 加害者が送受信したメール
  • 事務所や店舗の防犯カメラ映像

横領の証拠になる物や集め方について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:業務上横領が社内で起きた際の証拠の集め方・注意点を弁護士が解説

弁護士への相談

横領の被害に気がついたら、早めに弁護士にご相談ください。

弁護士に相談・依頼すれば以下のメリットがあります。

とるべき方針がわかる

横領の加害者に対しては、主に民事訴訟、刑事告訴、懲戒処分といった様々な手段をとれます。被害者がどれを選ぶかは自由であり、一部だけでも、すべて行っても構いません。とはいえ、実際にどの手段が効果的なのかわからない方も多いでしょう。

弁護士に相談すれば、いかなる方針をとるべきなのかをアドバイスしてもらえます。加害者に財産があって回収の見込みがあるときには民事訴訟、刑罰を科したいのであれば刑事告訴など、ケースや希望に応じた最適な手段がわかります。

証拠収集をサポートしてもらえる

前述の通り、いかなる手段をとるにせよ証拠は不可欠です。しかし、証拠になる物や収集方法はケースによって異なります。法律に詳しくない方が正確に証拠を集めるのは難しいでしょう。

弁護士は証拠収集もサポートできます。必要な証拠や収集方法がわかり、加害者の責任を追及しやすくなる点も、弁護士に相談・依頼するメリットです。

法的手続きや交渉を任せられる

法的手続きは面倒であり、時間や手間をとられ被害者にとっては大きな負担になります。また、警察や加害者とのやりとりで精神的なストレスを抱える方も多いです。

弁護士に依頼すれば、法的手続きや交渉を任せられます。面倒なことは弁護士に代わりにやってもらえば、時間的・精神的負担を軽減でき、日常生活・業務に集中できます。

返金を受けられる可能性が高まる

民事・刑事いずれにしても、弁護士をつけて法的手段をとれば実効性が高まります。

弁護士は証拠を法的に整理して請求をするので、民事訴訟の勝訴や刑事告訴の受理の可能性を上げられます。また、弁護士がつくと被害者だけで行うよりも加害者が感じるプレッシャーは大きいため、任意の返金にも応じてもらいやすいです。

とりわけ、刑事に強い弁護士に依頼して告訴を受理してもらえると効果的です。告訴に精通している弁護士は少ないため、経験豊富かを見極めるようにしましょう。

懲戒処分・再発防止策の策定

社内での横領においては、加害者への懲戒処分も忘れないでください。厳しい懲戒処分をすれば、他の従業員への抑止効果もあります。

横領という重大犯罪を実行している以上、懲戒解雇が妥当なケースが多いです。とはいえ、十分な調査をしたうえで弁解の機会を与えるなど、手続きは踏むようにしてください。

懲戒処分の他にも、社内体制に問題がなかったかを見直し、再発防止策をとる必要があります。社内で今後横領が発生しないよう、万全の対策をとりましょう。

横領被害に遭われた方はリード法律事務所にご相談ください

ここまで、横領で刑事告訴する際の流れや示談のタイミングを中心に解説してきました。

刑事告訴は、刑罰を科すのみならず、返金を受けるためにも効果的な手段です。とはいえ、ご自身で警察に行ってもなかなか取り合ってもらえません。弁護士に相談・依頼して、告訴状の作成、警察への提出、加害者との交渉などを任せるのがオススメです。

横領被害に遭われた方は、リード法律事務所までご相談ください。

当事務所は、犯罪被害者の弁護を専門にしており、横領でも告訴を受理させてきた実績がございます。被害者の皆様に寄り添って、加害者の責任を追及するために全力でサポートいたします。

加害者への刑事告訴を考えている横領被害者の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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