詐欺被害にあったら

最終更新日:2024.05.16

詐欺被害を刑事告訴する際の流れ・期間と示談のタイミングを解説

詐欺被害に遭って加害者の責任を追及する際には、刑事告訴が有効です。刑事告訴をすれば刑罰を科せる可能性が高まるだけでなく、加害者が示談交渉に応じて返金してくれるケースもあります。

ただし、警察はなかなか刑事告訴を受理してくれません。弁護士に相談・依頼すればスムーズに進みやすくなりますが、刑事告訴は一般的になじみが薄く、流れをイメージできない方も多いでしょう。

この記事では、詐欺被害について弁護士に依頼して刑事告訴する際の流れや要する期間、示談するタイミングなどについて解説しています。詐欺被害に遭って加害者の責任を追及したい方は、ぜひ最後までお読みください。

詐欺罪で刑事告訴をした事例やメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせて参照してください。

参考記事:詐欺被害に遭ったら刑事告訴できる?事例と刑事告訴するメリットを解説

詐欺被害で刑事告訴する際の流れ・かかる期間

当事務所の弁護士に刑事告訴を相談・依頼した際の流れは、以下の通りです。あくまで一般的な流れですので、個々の事情によって変わる可能性がございます。

ヒアリング

まずは電話・LINE・問い合わせフォームなどを通じてご連絡いただき、内容を伺ったうえで面談の日時を調整いたします。対面の面談のほか、ご希望に応じてオンラインや電話でのご相談も可能です。

相談の際には、ご事情を丁寧にヒアリングいたします。方針を決めるにあたっては証拠の有無や内容が重要ですので、お持ちいただいた証拠の検討も行います。「何が証拠になるかわからない」という方でも、面談の前に必要なものをお伝えしますのでご安心ください。

受任

ヒアリング後に、加害者に法的責任を問えるか、いかなる弁護方針が考えられるのかをお伝えします。詐欺の場合には民事・刑事いずれの手段も考えられるため、それぞれのメリット・デメリットをご説明いたします。弁護士費用が気になる方も多いかと思いますが、事前にわかりやすく説明いたしますのでご安心ください。

方針や費用に納得いただけましたら、契約のお手続きをして受任となります。

もちろん、相談だけでご依頼いただかなくても構いません。持ち帰って検討する、他の弁護士と比較するといった選択肢もあります。「強引に契約させられるのではないか」と心配する必要はございません。

告訴状の作成・受理

受任後、着手金をお支払いいただきましたら活動を開始します。刑事告訴の場合には、証拠を整理したうえで告訴状を作成するのが主な活動内容です。告訴状が完成したら、被害者の方と弁護士が一緒に警察に出向きます。

告訴状の作成までにかかる期間は、通常は2〜3ヶ月程度です。お急ぎの方には別途、特急コースを設けておりますので、その場合には2週間程度での作成も可能です(追加費用が必要です)。

作成後警察署に行くと、1〜2回の相談で受理されます。その場で受理されるケースも、1〜2ヶ月経って受理されるケースもございます。

加害者とのやりとり

告訴が受理されたら、加害者に書面で通知します。加害者から示談の打診があれば話し合いを進めます。

示談交渉の際には、被害者の皆様は加害者と直接やりとりする必要はございません。弁護士が窓口になりますのでご安心ください。

交渉で合意できれば、示談金などの条件をまとめた書面を取り交わします。もちろん、納得できなければ示談する必要はありません。

加害者の処分決定

告訴が受理されると、警察・検察が捜査を進めます。加害者が逮捕・勾留される可能性もあります。その後、検察官が起訴すると判断すれば刑事裁判となり、最終的には裁判官が判決をくだすという流れです。

逮捕・勾留されたケースでは、20日程度で起訴・不起訴が決まります。在宅で捜査が進んだケースでは、起訴・不起訴が決定するまで半年〜1年程度です。

起訴された場合には、その後判決が出るまで少なくとも1〜2ヶ月程度はかかります。加害者側の弁護士が激しく争うケースでは、より長期化します。 

詐欺で示談できるタイミング

刑事告訴をした結果、加害者が示談を申し出て被害の返金を受けられるケースがあります。示談しやすいタイミングとしては、以下が挙げられます。

告訴状受理直後で警察が捜査しているとき

まずは、告訴状が受理され、警察が捜査を開始した段階で示談する場合があります。弁護士からの通知により告訴された事実を知り、加害者が示談交渉を申し出てくるケースです。

加害者からすれば、告訴によって「自分が処罰されるかもしれない」と思うようになります。早い段階で申し入れてくる場合には、示談して処罰を免れたい気持ちが強いと考えられるでしょう。

送検され処分が決まるまでの間

警察での捜査が一段落すると、事件は検察に送られます。送検された後、検察官が起訴するかどうかを決定するまでの間に示談するケースがあります。

検察官が起訴すると決めれば、その先に待っているのは刑事裁判です。わが国の刑事裁判では、起訴されるとほとんどのケースで有罪判決がくだされ、加害者に前科がつきます。前科がつくと大きな社会的・経済的な不利益が生じるため、加害者としては起訴されるのを避けようと示談に積極的になりやすいです。

起訴され刑事裁判になった後

示談が成立するのは、多くの場合で起訴される前です。とはいえ、起訴されて刑事裁判になっている最中に示談するケースもあります。

裁判中に示談交渉が進みやすい事例としては、執行猶予か実刑判決かが微妙なケースが挙げられます。刑務所に収監されるか否かは、加害者にとっては重大な問題です。執行猶予判決を得るために、お金を支払ってでも示談しようとするケースがあります。

詐欺被害にあったらすべきこと

刑事告訴や返金に持ち込むためには、被害に遭ったらすぐに行動するのが望ましいです。詐欺被害に遭った際には、以下の行動をとりましょう。

落ち込み過ぎず行動に出る

詐欺犯人に騙されると「なんて愚かなんだ」「うまい話に乗ってしまった」とご自身を責めてしまう方がいらっしゃいます。金銭面だけでなく精神的にもダメージを受けるのは、ある意味仕方がないことです。

とはいえ、落ち込み過ぎて何もできなければ、加害者が得をしてしまいます。当然ですが、悪いのは被害者ではなく加害者です。詐欺犯人の責任を追及するためにアクションを起こしましょう。

証拠を集めて残しておく

加害者の責任を追及するために重要なのが証拠です。民事訴訟や刑事告訴をするためには、ある程度の証拠が不可欠になります。

詐欺の証拠になり得るものとしては、以下が挙げられます。

  • メール、LINE、SNSなどを通じた相手とのやりとり
  • 取引の際に作成した契約書
  • 金銭を支払った際の振込明細書、領収書
  • 振込先の口座情報
  • 犯人の名前・会社名・住所・電話番号などの個人情報

証拠の中には、時間の経過とともに消えてしまうものもあります。証拠を隠滅されるおそれもあるため、早めに集めて保管しておきましょう。一見証拠になりそうになくても法的に意味を有するものはあるので、被害に関係するものは残しておいてください。

弁護士に相談する

犯罪被害を受けた際には、警察への相談を考える方も多いでしょう。しかし、警察は「証拠が足りない」「詐欺罪にはならない」「民事上の争いには介入できない」などと理由をつけ、なかなか告訴を受理してくれません。

そこで、弁護士への相談がオススメです。弁護士への相談・依頼には以下のメリットがあります。

方針のアドバイスを受けられる

詐欺で責任を追及する方法としては、大きく分けて民事訴訟と刑事告訴があります。刑事告訴が有効なケースが多いものの、いずれの方法をとるべきかはケースバイケースです。

弁護士に相談すれば、状況に応じてとるべき方針をアドバイスしてもらえます。また、証拠や相手の情報をもとに返金される見通しがあるかもわかるため、時間やお金を浪費する事態を避けられます。警察では受けられないアドバイスを聞けるはずです。

「何をすべきかわからない」とお困りであれば、まずは弁護士に相談しましょう。

手続きにとられる時間を節約できる

民事訴訟にせよ刑事告訴にせよ、法的手続きには時間や手間がかかります。書類の作成や窓口でのやりとりが必要になり、慣れていない方にとっては大変でしょう。

弁護士に依頼すれば、証拠の整理や告訴状の作成などを任せられます。告訴の際にはご自身も警察に出向く必要がありますが、弁護士が同行すればスムーズに進み、何度も出直しさせられるより格段に手間がかからないでしょう。

手続きにとられる時間を大幅に節約できるのは、弁護士に依頼するメリットのひとつです。

精神的負担が減る

被害者が自力で進めようとすると、加害者側と直接やり取りしなければならず、精神的な負担が大きいです。そもそも加害者本人と接触するのは危険が伴いますし、相手方に弁護士がついているときも「言いくるめられないか」と不安が生じるでしょう。

弁護士には相手方との交渉も任せられます。加害者サイドと直接やり取りせずにすむため、精神的なストレスが軽減できるはずです。

被害金額を回収できる可能性が高まる

被害者自身が交渉や訴訟をしても、詐欺犯人からお金を返してもらうのは困難といえます。被害をうまく証明できない、そもそも相手を特定できないといったケースが多いです。

弁護士がついていれば、証拠から被害を法的に証明し、状況に応じた方法により相手から回収できる可能性を高められます。受けた被害を取り返したいのであれば、弁護士への相談・依頼が有効です。

詐欺被害者が刑事告訴するメリット

詐欺加害者の責任を追及する方法としては、主に民事訴訟と刑事告訴があります。特に効果的なのが刑事告訴です。

以下で詐欺被害者が刑事告訴するメリットを解説します。

刑罰を与えられる

刑事告訴は、犯罪被害を受けた事実と処罰を求める意思を捜査機関に伝える行為です。告訴を受けた警察・検察は捜査を進めてくれます。検察官が起訴すると判断すれば、刑事裁判を通じて加害者に刑罰を科せます。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。罰金刑はなく、有罪となれば必ず懲役刑になります。被害額が大きいなど悪質なケースでは実刑判決がくだされ、加害者が刑務所に収監されます。

犯人に刑罰を与える可能性を高められる点は、刑事告訴の大きなメリットです。

示談すれば返金を受けられる

告訴をきっかけに加害者が示談を申し出て、返金に応じるケースも多いです。

加害者からすると、告訴によって刑罰が現実的になると、前科がつくのを避けるために示談する必要性が高まります。特に実刑判決が予想されるケースでは、刑務所に収監されるか、被害者に返金して示談するかの究極の二択を迫られます。民事訴訟では効果がなかったケースでも、示談に積極的になりやすいです。本人にお金がなくても、親族などに借金をしてまで用意する加害者もいます。

反対に民事訴訟の場合には、勝訴判決を得ても強制執行の対象にできる財産がなく、お金を回収できないケースが非常に多いです。

刑事告訴の本来の意味は刑罰を求める点にありますが、刑罰権を背景に交渉できるため、結果的に返金を受ける可能性を高められます。

更なる被害を防げる

告訴によって次なる被害を防げるメリットもあります。

詐欺は多くの人がターゲットになりやすい犯罪です。告訴をした結果逮捕される、刑務所に収監されるなどすれば、物理的に次の犯行ができなくなります。厳しい制裁を受けたために、犯人が今後の人生で詐欺に手を染めなくなる効果も期待できるでしょう。

ご自身の被害の回復だけでなく、新たな被害者を生まないためにも、告訴は効果的な手段です。

詐欺被害に遭われた方はリード法律事務所までご相談ください

ここまで、詐欺被害に遭った方に向けて、刑事告訴の流れや要する期間、示談するタイミングなどについて解説してきました。

刑事告訴は、刑罰を科すのみならず、返金を受けるためにも有効な手段です。とはいえ、ご自身で警察に行っても取り合ってもらえないケースがよくあります。弁護士に相談・依頼して、告訴状の作成、警察への提出、加害者との交渉などを任せるのがオススメです。

詐欺被害に遭われた方は、リード法律事務所までご相談ください。

当事務所は、犯罪被害者の弁護を専門にしており、これまで詐欺罪でも数多くの告訴を受理させてまいりました。被害者の皆様に寄り添って、加害者の責任を追及するために全力でサポートいたします。

「詐欺犯人から返金を受けたい」と考えている被害者の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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