最終更新日:2024.03.22
金融商品詐欺とは?被害に遭ったら刑事告訴できる?詐欺に遭わないためには
近年投資への関心が高まっていますが、金融商品に関する詐欺被害も深刻になっています。未公開株や社債への投資を呼びかける、名義貸しを依頼するなど、金融商品詐欺の手口は様々です。被害にあった際には、刑事告訴を含めて対応を検討する必要があります。
この記事では、金融商品詐欺の手口、刑事告訴するメリット、被害に遭わないための注意点などを解説しています。金融商品詐欺の被害に遭った方や、騙されたのではないかと疑っている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
金融商品詐欺とは
金融商品詐欺とは、金融商品に関してウソの情報を伝え、金銭を騙し取る詐欺です。投資詐欺とも呼ばれます。
「必ず儲かる」「あなただけにご紹介」などと謳って投資を持ちかけてくるのが典型的な手口です。被害者が信じて入金すると、連絡が取れなくなりお金も返ってこなくなってしまいます。
複数の人物が登場する、被害回復を装って詐欺をはたらくなど、手口が悪質かつ巧妙なケースも多いです。以下で、典型的な金融商品詐欺の事例をご紹介します。
未公開株・社債の売りつけ詐欺
よくあるのが、未公開株や社債などの金融商品を売りつけてくるケースです。
勧誘の際には次のフレーズがよく用いられます。
- 必ず儲かる
- 元本保証
- あなただけにご紹介します
甘い言葉で投資を持ちかけて被害者を騙し、入金・送金させます。実際には価値の低い商品、あるいは存在すらしない架空の商品であり、謳われていた利益は出ません。儲からないどころか、連絡がとれなくなりお金が返ってこないケースが大半です。
本来は「必ず儲かる」ことはありえないのですが、巧みな話術で投資経験が少ない被害者を信用させます。「お金持ちになりたい」という、誰もが持っているであろう心理につけこんだ悪質な手口です。
名義貸しからの脅迫・詐欺
名義貸しを依頼した後で脅迫し、お金を騙し取る手口です。
最初に「あなたには未公開株を購入する権利がある。興味がないなら名前だけ貸してくれないか。お礼は渡す」などと名義貸しを持ちかけてきます。名義の使用を了承すると、後から弁護士を名乗る人が「名義貸しは犯罪だ。逮捕されたくないなら代金を支払え」と金銭を要求してきます。「違法」「犯罪」「逮捕」といった言葉を聞いた被害者は怖くなり、要求に応じてしまうのです。
実在する証券会社や公的機関を名乗るなど、犯人が巧みに信用させようとしてくるため、被害者は騙されてしまいます。単に虚偽の投資を呼びかけるだけでなく、脅迫までしてくる点でより悪質といえます。
被害回復を装った詐欺
過去に詐欺被害に遭った方をターゲットにした、被害回復を装った詐欺も多いです。
たとえば、以前未公開株詐欺に遭った被害者に「購入した未公開株を買い取る」と連絡してきて、「手続きのために手数料が必要」としてお金を騙し取ります。他に、弁護士を装って「返金のために訴訟費用がかかる」として送金させる手口もあります。
いずれにしても、被害者の「お金を取り返したい」という心理を利用した非常に悪質な手口です。詐欺被害者の情報は詐欺グループの中で広まっており、再びターゲットになりやすいといえます。「被害を回復したい」との思いとは裏腹に、さらなる被害につながってしまうのです。
劇場型詐欺
劇場型詐欺は、様々な人物が登場する手口です。
たとえば、まずA証券会社を名乗って「上場予定の未公開株の購入権がある。必ず儲かるので買わないか」との連絡がきます。その後、別のB証券会社から「あなたが購入できる未公開株を高値で買い取る」との申し出がなされます。複数の業者から連絡を受け、被害者は「本当に自分に権利があるのだ」と騙されてしまうのです。
劇場型詐欺では、他にも弁護士や公的機関など様々な人物が登場します。ストーリーが練られているためリアリティが高まり、「全員が裏でつながっている」と被害者が気がつくのは難しいです。特に巧妙な手口といえます。
金融商品詐欺の被害に遭ったら刑事告訴できる
金融商品詐欺の被害に遭った際には、詐欺罪で刑事告訴ができます。
詐欺罪は、他人をあざむいて財産を騙し取る犯罪です。価値のない金融商品について「必ず儲かる」などと伝え、被害者が騙されてお金を送金していれば詐欺罪に該当します。
刑事告訴とは、捜査機関に対して被害者が「犯人を処罰して欲しい」との意思を示すことです。告訴すれば、犯人に刑を科せる可能性が高まります。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。罰金刑の定めはなく、有罪になれば必ず懲役刑となります。被害額が大きいなど悪質なケースでは、執行猶予がつかない実刑判決がくだされ、犯人が刑務所に収監されます。
もっとも、公訴時効期間を経過すると刑罰は科せません。詐欺罪の公訴時効期間は7年です。時効にかからないとしても、時間が経てば経つほど証拠が消えていってしまいます。刑事告訴を含めた対応を早めに検討しましょう。
刑事告訴するメリット
刑事告訴をすれば、犯人に刑罰を科せる可能性が高まります。
一般的に詐欺はバレないように行われます。殺人や強盗とは異なり、自然に警察・検察に気がついてもらえるとは限りません。
被害者が刑事告訴をして被害の事実を申告すれば、捜査機関に犯行の事実が伝わり、捜査を進めてもらえます。検察官が起訴して刑事裁判になれば、犯人に刑罰を科せます。
加えて、刑事告訴によって、騙し取った金銭を詐欺犯が返還してくれる可能性がある点もメリットです。
たしかに、告訴した結果として有罪判決が出ても、被害者への返金が命じられるわけではありません。しかし、犯人が重い処分を科されるのをおそれ、被害額を返還して示談しようとするケースは多いです。特に実刑判決が予想されるケースでは、犯人は、刑務所に入るか、騙し取ったお金を返還するかの究極の二択を迫られます。別途民事訴訟を提起せずに、刑事告訴によって金銭的に被害を回復し得るのです。
刑事告訴の本来の目的は加害者に刑罰を科すことですが、結果的に金銭的被害の回復につながる点でも有効な手段といえます。
弁護士以外の相談先
刑事告訴や民事上の返還請求を考えている場合には、弁護士に相談するのが有効です。弁護士は法的な手続きを代わりに行ってくれます。
他にも、金融商品詐欺の被害に遭った、あるいは騙された疑いがあるときには、以下の相談先があります。
消費者庁が設置しており、最寄りの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。
受付時間:案内される相談窓口による
電話番号:188
日本証券業協会の相談窓口です。
受付時間:平日9時~11時30分、12時30分~17時
電話番号:0120-344-999
金融庁が設置している、金融商品詐欺に関する相談窓口です。
受付時間:平日10時~17時
電話番号:0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)
金融商品詐欺の被害に遭った際には、ひとりで悩まずに、いずれかの相談窓口にお問い合わせください。
金融商品詐欺被害に遭わないようにするためには
金融商品詐欺の被害に遭わないためには、投資に関する知識を身につけるとともに、典型的な手口や注意点を知っておく必要があります。
具体的には、以下の点に注意してください。
証券会社や金融商品が実在するか確認する
まずは、連絡してきた証券会社や勧められた金融商品が実在するかを確認してください。
金融商品の売買ができるのは、登録された業者に限られます。金融庁のサイトで「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」が公開されていますので、記載されているかを確認しましょう。
同様に、金融商品の存在についてもチェックが必要です。たとえば未公開株については、本当に上場予定の会社なのかを確かめてください。
チェックした結果、実在しなければ詐欺の可能性が極めて高いです。絶対にお金を送金しないでください。
もちろん、存在する証券会社や金融商品の名称を利用して詐欺をはたらく場合もあります。「実在する=信用できる」とは考えずに、他の要素も勘案するようにしてください。
甘い話に乗らない・家族に相談する
甘い話があってもすぐに飛びつかず、家族や友人など、周囲に相談するようにしてください。
たとえば、相手から以下の言葉が出たら気をつけましょう。
- 「必ず儲かる」「絶対に損をしない」「元本保証」
- 「1年で2倍になる」「年利30%」
- 「あなただけに教えます」「特別に権利があります」
多くの人にとって、簡単かつ確実な儲け話は魅力的に見え、つい乗ってみたくなってしまうものです。しかし、甘い話には必ず裏があります。
ほとんどの金融商品詐欺は、冷静に考えればあり得ない内容です。いったん立ち止まって考えれば、騙されるリスクを大幅に減らせます。
話を持ちかけられても、すぐに応じないで周囲に相談してみましょう。話せる人がいないときには、公的な相談窓口を活用するのも有効です。ひとりで判断をくださないようにしてください。
「必ず儲かる」投資はありえない
そもそも「必ず儲かる」投資などあり得ません。
金融商品への投資には一定のリスクがつきものです。高いリターンの裏には、大きなリスクが潜んでいます。元本が保証されるのは、定期預金など一部の商品に限られます。未来のことはわからないので、株式、社債、外貨などについて「必ず儲かる」と断言はできないはずです。
落ち着いて考えてみてください。相手にとって「必ず儲かる話」を「あなただけ」にしてくるメリットがどこにあるのでしょうか?
本当に必ず儲かるのであれば、自分で実行すればいいだけです。他人に勧める理由はありません。
「必ず儲かる」と言われたら、どんな理屈がついていようとも絶対に信用しないでください。
金融商品詐欺被害にあったら、すみやかに弁護士に相談
ここまで、金融商品詐欺について、よくある手口、刑事告訴するメリット、被害に遭わないための注意点などについて解説してきました。「必ず儲かる」「元本保証」「あなただけ」といった言葉が出ていたら、詐欺の可能性が高いです。もし被害に遭ってしまったら、被害を回復するために、証拠が消えないうちに刑事告訴を含めてすぐに対応を検討しましょう。
金融商品詐欺被害に遭ったら、リード法律事務所までご相談ください。
当事務所では、被害者の方々からご依頼を受け、数多くの刑事告訴を受理させてまいりました。詐欺罪で告訴を受理させた事例も多くございます。証拠の収集、告訴状の作成、警察とのやりとり、加害者との交渉など、詐欺被害者の方を徹底的にサポートいたします。
金融商品詐欺の被害に遭った、あるいは疑いをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。