最終更新日:2023.07.03
投資詐欺被害に遭ったら、すぐするべきこととは?詐欺の特徴と返金方法
「投資詐欺に遭ってしまったようだ」と不安をお持ちではないですか?
投資詐欺は手口が巧妙であり、被害に遭われる方が後を絶ちません。もっとも、やるべきことをすぐに実行すれば、返金を受けられる可能性もあります。
この記事では、投資詐欺の手口と特徴、被害に遭ったときにやるべきこと、返金してもらう方法などについて解説しています。投資詐欺の被害に遭った方や被害を疑っている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
投資詐欺の手口と特徴
「必ずもうかる」「元本保証」などの文句にしたがって金を支払ったものの、実際には約束したリターンを受け取れないのが、投資詐欺の一般的な特徴です。
「投資詐欺」と一口に言っても、古くからあるものから最近増加しているものまで、手口は様々あります。いずれも巧妙な手口であり、被害に遭われる方が後を絶たないのが実情です。
まずは、投資詐欺の代表的な手口と、それぞれの特徴について解説します。
ポンジ・スキーム
ポンジ・スキームは古典的な投資詐欺の手口で、詐欺師のチャールズ・ポンジから名づけられました。投資詐欺の多くはポンジ・スキームだといわれています。
ポンジ・スキームでは、「年利30%」「元本保証」といった、本来はありえない条件で出資金を集めます。
その後、配当金と称して出資金の一部が返還されます。しかしこれは、集めたお金を横流ししているだけです。出資金を運用していると謳っていますが、実際には一切運用がなされていません。したがって、配当金を出し続けるのは不可能です。
最終的には胴元の詐欺師が突然姿を消し、出資したお金の大半がだまし取られて返ってこない結果となってしまいます。
ポンジ・スキームは、最初は配当金が実際に支払われるため、被害者が信用しやすくなる点が特徴です。最初は少額で始めても、信用した結果として徐々に出資金を増やし、被害が拡大してしまいます。他人に紹介すると紹介料が支払われる仕組みになっていて、被害者が次々に増えてしまうケースも多いです。
ポンジ・スキームは古くからある手法ですが、非常に巧妙であるため、現在でも多くの被害者が出ています。
名義貸し型詐欺
名義貸し型詐欺は、名義を貸すように要求する手口です。
たとえば、突然電話があって「あなたに有名企業の社債購入権がある。購入するつもりがないなら名義だけ貸してほしい。対価は支払う」と言われます。名義貸しを了承すると、後で弁護士を名乗る人物から「名義貸しは違法だ。賠償金を支払え」と脅され、結果としてお金を支払ってしまうのです。
名義貸し詐欺では「自分で金を払うのは嫌だが、自分の身銭は切らない名義貸しならいいか」と考える心理を利用しています。その後違法行為をしていると思い込ませて、怖くなった被害者から金銭をだまし取っている点が悪質です。
劇場型詐欺
劇場型詐欺は、複数の登場人物が出てきてストーリーを作り、存在しない商品や権利を購入させる手口です。
たとえば、A社を名乗る犯人が「商品Xを購入しないか」と持ちかけ、別途B社が「商品Xを高値で買い取っている」と連絡をしてきます。「商品XをA社から買ってB社に売りたい」と考えた被害者が代金を支払ったものの、その後一切連絡が通じなくなって、だまされた事実に気がつきます。
劇場型詐欺では複数の登場人物がいますが、巧妙な文句により、被害者には別の業者だと思わせるのが特徴です。実際には登場人物はすべて裏でつながっているため、だまされてしまいます。
劇場型詐欺には、商品だけでなく、存在しない権利を売りつけるパターンもあり、バリエーションは様々です。
被害回復型詐欺
被害回復型詐欺とは、以前投資詐欺などの被害に遭った人に連絡して、被害回復を名目に金銭をだまし取る手口です。
たとえば、弁護士を名乗って「返還手続きのために手数料が必要」「集団訴訟に費用がかかる」といった理由で、被害回復のために金銭の支払いが不可欠だと思い込ませます。金銭を支払っても実際には被害が回復されることはなく、反対に被害額が大きくなってしまうのです。
被害回復型詐欺は、詐欺被害を受けた方の「お金を取り返したい」という心理を利用しています。困っている被害者からさらに金銭をだまし取ろうとする点で、非常に悪質です。詐欺被害者の個人情報は犯罪者の間で出回っているため、再び対象になってしまうケースは珍しくありません。
FX自動売買詐欺
FX自動売買詐欺は、FXの自動売買ツールを売りつける手口です。たしかにFXの自動売買ツールは存在しますが、悪徳業者にだまされてしまう場合も少なくありません。
具体的には、「必ずもうかる」と謳って中身のないツールを売りつけ、その後連絡がなくなってしまうケースがあります。効果がないとして返品を申し出ても、一切応じてもらえません。
近年の投資熱の高まりを背景に、投資経験が浅い若年層をメインターゲットにして、SNSなどを通じて呼びかける点が特徴です。
その他(未公開株・ロマンス詐欺・不動産詐欺)
ここまで紹介した以外にも、投資詐欺には様々な手口があります。
- 未公開株詐欺
「近く上場予定で必ずもうかる」「あなただけに特別にご案内」などの文句で、上場していない企業の未公開株を売りつける詐欺です。実際には上場の予定はなく、株の購入代金をだまし取られてしまいます。
- ロマンス詐欺
主に外国人がSNS上で近づいてきて、恋愛感情を利用してなされる詐欺です。被害者を信用させたところで投資話を持ち出し、金銭を支払わせます。その後、ある日突然音信不通になり、お金を取り戻せなくなってしまいます。
- 不動産詐欺
不動産の購入名目でお金をだまし取る詐欺です。手付金を支払った後に連絡がとれなくなる、価値のない原野を高値で売りつけられるなど、様々なバリエーションがあります。
他にも投資詐欺には数多くの手口があり、日々新たな手法が生み出されています。
投資詐欺の被害に遭ったら…すぐにやるべきことを
投資詐欺の被害に遭われた方は、犯人に対する恨み、だまされた自分へのやるせなさなど、様々な感情をお持ちかと思います。ショックから、なかなか行動する元気が湧かないかもしれません。
とはいえ、時間が経てば経つほど証拠がなくなってしまい、被害の回復や犯人への追及が難しくなってしまいます。以下の説明を読んで、やるべきことをすぐに実行していきましょう。
「詐欺被害」に遭ったという認識を持つ
まずは「自分がだまされた被害者である」という認識を持ってください。
被害者の中には、そもそも詐欺だったと理解していない方もいます。「必ず儲かる」「元本保証で年利30%」といった表現があれば、ほぼ確実に詐欺と考えられます。
また、詐欺被害に遭われた方が抱きがちな思いが「だまされた方が悪い」というものです。「儲け話に乗ってしまった」「世の中うまい話があるわけがない」「なんて愚かなんだ」などと、だまされた自分を責めてしまうのです。
しかし、投資詐欺において「だまされた方が悪い」ことは決してありません。冷静に考えて、だました犯人が悪いに決まっています。「自分は被害者である」という認識を持ちましょう。
「詐欺被害に遭った」という考えを持てば、「被害を回復する方法はないか」「犯人をどうすれば追及できるか」といった方向に進みやすいです。だまされたからといって自分を責めずに、今からできることに気持ちを切り替えましょう。
証拠を集める
次に、投資詐欺の被害に関する証拠を集めてください。
証拠になり得るものとしては、以下が考えられます。
- 投資内容に関する説明資料
- 商品・権利を購入した際の契約書
- 金銭支払いの領収書
- 振込先の口座情報
- 犯人の名前・会社名・住所・電話番号などが記載された書類
- 郵便物、メール、LINE、SNSのDMなど、犯人とのやりとりの記録
犯人が作った偽の情報が記載されていても、被害を受けた事実の証明にはなりますし、何らかの形で犯人の特定に役立つ可能性も考えられます。関係しそうな証拠はすべて集めておくようにしてください。第三者への相談をみすえて、自分で経緯をまとめておくのも有効です。
返還(返金)請求するためには、被害状況に関する証拠が必要
証拠を集めておくのが重要なのは、返金を請求する際には、被害状況に関する証拠が不可欠であるためです。
民事上の手段で被害金を取り返すためには、証拠を示して詐欺があった事実を示す必要があります。たとえ加害者を特定して民事訴訟を提起できたとしても、被害状況を証拠により被害者側が証明できなければ、勝訴判決は得られません。訴訟をせずに交渉で返還を求めるにしても、十分な証拠がなければ「詐欺ではない」と言われて相手にされないでしょう。
被害を回復するためにもっとも直接的な方法は、加害者からの返金です。証拠を集めて、法的に返金を請求できる状況にしておきましょう。
警察・弁護士に相談する
証拠をそろえたら、警察や弁護士に相談してください。
特に加害者に刑罰を求める場合には、警察の関与が不可欠です。もっとも、警察に相談しても詐欺であると判断されず、取り合ってもらえない可能性が高いです。詐欺は犯罪の中でも立証が比較的難しく、証拠が不十分だと立件が困難です。
警察に十分な対応が期待できないときには、刑事告訴を得意としている弁護士に相談しましょう。
犯罪被害者側の対応に慣れている弁護士に依頼すれば、刑事告訴の手続きを任せられるため、犯人の処罰につながりやすいです。警察とのやりとりも直接せずにすみます。
加えて、弁護士であれば民事上の返還請求も依頼できます。加害者に直接接触するのは危険も伴うため、交渉や訴訟を弁護士に任せれば安心です。
刑事・民事の両面で加害者を追及したいのであれば、警察に相談するよりも、最初から弁護士に相談した方が早いでしょう。
投資詐欺の相談先一覧
投資詐欺の相談先としては、様々な公的窓口があります。代表的な相談窓口は以下の通りです。
金融庁が設置している、投資詐欺に関する相談窓口です。
受付時間:平日10時~17時
電話番号:0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)
消費者庁が設置しており、最寄りの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。
受付時間:案内される相談窓口による
電話番号:188
日本証券業協会の相談窓口です。
受付時間:平日9時~11時30分、12時30分~17時
電話番号:0120-344-999
銀行協会が運営しており、だまされて銀行振込みをしてしまった場合に有用です。
受付時間:平日9時~17時
電話番号:0570-017109(または03-5252-3772)
- 全国一斉投資被害110番
各地の弁護士会が設置する無料の相談窓口です。毎年2月頃に年1回だけ設置されます。詳細は各弁護士会にご確認ください。
投資詐欺で失った資産を返金してもらう方法とは?
投資詐欺で資産をだまし取られてしまった方は「少しでも取り返したい」とお考えになるでしょう。
もっとも先ほど紹介したように、被害者の心理につけこんで、返金を装った被害回復型詐欺がなされる可能性もゼロではありません。正しい方法を知って、次なる被害を防ぎつつ、返金を求めていきましょう。
具体的には、返金してもらうために以下の方法が考えられます。
クーリングオフ制度を利用する
まずは、クーリングオフ制度を利用する方法があります。
クーリングオフとは、特定の類型の契約について、契約後であっても一定期間内については、申込みの撤回や契約解除ができる制度です。特定商取引法に定めがあります。
クーリングオフの対象となる主なケースは、以下の通りです。
- 訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールス等を含む)
- 電話勧誘販売
- 連鎖販売取引(マルチ商法)
クーリングオフ期間は類型によって異なります。マルチ商法の場合には20日間となっており、訪問販売などの8日間よりも長いです。
クーリングオフは、被害にすぐに気がついたときには有効な方法です。しかし、期間が経過していたり、対象の類型に該当しなかったりする場合には利用できません。
加害者との交渉
加害者と交渉して、返金を要求する方法もあります。何らかの方法で加害者を特定できた場合にとり得る方法です。
返金を要求する際には、まず内容証明郵便を送付するのが一般的です。内容証明郵便を送れば請求した証拠になって時効の完成を防げるとともに、相手に支払いへの圧力を与えることができます。交渉が難しければ、民事訴訟を提起して返金を求めます。
もっとも、投資詐欺は組織的に行われるケースも多く、加害者がどういった素性の人物であるかはわかりません。被害者が加害者と直接交渉するのは危険が伴います。弁護士に依頼して、交渉や訴訟を任せるのが安心です。
加害者との交渉や訴訟により返金を受けられる可能性もありますが、相手に資金がなければ回収が難しい点は頭に入れておいてください。
振り込め詐欺救済法で一部を取り戻す
振り込め詐欺救済法に規定された手続きを利用して、返金できる可能性もあります。
振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律)は、犯罪に利用された口座に残っている被害金の支払い手続きについて定めた法律です。
だまされて振り込んだ先の口座に残高があれば、金融機関に申し出ることで返金を受けられます。加害者から直接回収する必要がない点がメリットです。
もっとも、口座にお金が残っていなければ返金は受けられません。また、被害者が複数いる場合には、被害者間で按分されます。投資詐欺では被害者が多数いるケースも珍しくなく、十分な返金が受けられる可能性が高いとはいえません。
振り込め詐欺救済法だけで十分とは言い難いものの、被害の一部を取り戻せる可能性がある方法です。
刑事告訴する
刑事告訴によって返金に近づく可能性もあります。
「刑事告訴しても刑事事件になるだけで、返金とは関係ない」とお考えになるかもしれません。たしかに、返金は基本的に民事上の方法で求めるものであり、刑事告訴をしても返金にダイレクトにはつながりません。
しかし、刑事告訴によって加害者が刑罰をおそれ、示談をもちかけてくるケースがあります。示談交渉において条件があえば、被害金額を回収できる可能性も考えられます。
示談すれば加害者の刑事処分が軽くなるデメリットはあるものの、刑事告訴は被害の直接の回復につながり得る有効な手段のひとつです。
▼詐欺罪で刑事告訴された成功事例はこちらの記事をご確認ください。
投資詐欺(ポンジスキーム)について詐欺罪で刑事告訴が受理された案件
投資詐欺被害に遭われたら…ご相談はリード法律事務所へ
ここまで、投資詐欺被害に遭った際にやるべきことを中心に解説してきました。
詐欺に遭ったときにはご自身を責めずに、被害の回復に向けて行動するのが重要です。もっとも、証拠収集、警察とのやりとり、加害者との交渉などは、自力で行うにはハードルが高いでしょう。
投資詐欺被害に遭われた方は、リード法律事務所までご相談ください。当事務所では、刑事被害者の方々からご依頼を受け、刑事告訴を数多く受理させてまいりました。刑事・民事両面で、投資詐欺被害者の方に寄り添った対応をお約束いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。