性犯罪にあったら

最終更新日:2024.03.22

【被害者弁護】不同意性交被害に遭った際に弁護士に相談する意味・メリットとは

2023年7月13日に施行された改正刑法により、従来の強制性交等罪・準強制性交等罪が統合され「不同意性交等罪」という名称になりました。以前よりも罪が成立する範囲が広がっており、被害者の方が声を挙げやすくなっています。

不同意性交等罪の被害に遭われた際には、ワンストップ支援センターや警察のほか、弁護士への相談もご検討ください。弁護士に相談すれば、証拠の収集・保全方法がわかり、刑事告訴がスムーズに進められます。

この記事では、不同意性交等罪の被害に遭った際に弁護士に相談する意味・メリットについて解説しています。望まない性行為を強いられる被害に遭われた方は、ぜひ最後までお読みください。

不同意性交等罪とは

不同意性交等罪とは、同意がないのに性交(肛門性交や口腔性交なども含む)を強要する犯罪です。

「同意しない意思を形成・表明・全うするのが困難な状態」の相手に性交等をすると成立します(刑法177条)。以前は「暴行または脅迫」が要求されていましたが、2023年の法改正により必須ではなくなりました。

同意のない性交については「加害者:男性、被害者:女性」とのイメージをお持ちかもしれません。2017年以前は法律上も「加害者:男性、被害者:女性」に限定されていました。しかし現在では、男女ともに加害者・被害者のいずれにもなるように変更されています。

また、夫婦間であっても同意のない性交は犯罪です。2023年の法改正により、夫婦間でも成立する点が明確化されました。

不同意性交等罪の要件や法改正の内容について詳しくは、以下の記事を参照してください。

参考記事:不同意性交等罪とは?刑事告訴の流れを弁護士が解説

「同意しない意思」とは

不同意性交等罪の成否を分けるポイントは「同意しない意思」の有無です。

従来は、明確に拒否していないと、「被害者が性交に同意していた」として、加害者が無罪になるケースがたびたびありました。もっとも、フリーズ状態になっている、相手との上下関係があるなどの理由で、明確に拒否の意思を示せないケースも非常に多いです。「明確に拒否していない=同意があった」と扱われてしまうのは、被害者の意思に合致していません。

そこで法改正がなされ、「同意しない意思を形成・表明・全うするのが困難な状態」であったかが問題になるように変更されました。この状態になる原因として、条文上以下の8つが挙げられています。

  • 暴行・脅迫
  • 心身の障害
  • アルコール・薬物
  • 睡眠など意識不明瞭
  • 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがない
  • 予想と異なる事態に直面し恐怖・驚愕
  • 虐待に起因する心理的反応
  • 経済的・社会的関係の利用

これらの理由により、「同意しない意思を形成・表明・全うするのが困難な状態」で性交がなされれば、不同意性交等罪が成立します。

たとえ以下の事情があっても、必ずしも同意したとはいえません。

  • 密室で二人きりになった
  • キスをした
  • 家に入れた
  • 明確に拒否しなかった

「拒否しなかった自分が悪い」と自らを責める必要はありません。同意していない状態で性交をされた際には、被害を訴えることができます。

不同意性交等被害にあった際に弁護士に相談する意味

不同意性交等罪の被害にあった際には、まずはワンストップ支援センター(#8891)や警察の専用電話(#8103)に相談しましょう。場合によっては医療機関の受診も必要です。

そのうえで、刑事告訴や民事上の損害賠償請求により被害を回復するために、弁護士にもご相談ください。弁護士への相談には以下の意味があります。

比較的スムーズに刑事告訴できる

弁護士に相談すれば、スムーズに刑事告訴ができます。

刑事告訴とは、捜査機関に被害の事実を申告し、加害者を処罰して欲しいとの意思を示すことです。通常は警察に対して刑事告訴を行います。

もっとも、「証拠が足りない」「同意があったのではないか」などと理由をつけて、警察が刑事告訴を受理してくれないケースが非常に多いです。被害の申告がある以上、本来であれば捜査機関としては告訴を受理すべきですが、実際にはなかなか取り合ってもらえません。

弁護士に依頼すれば、刑事告訴をスムーズに進められます。

実務上、告訴の際には告訴状を作成しなければなりません。犯罪が成立すると明らかになるよう記載する必要があり、一般の方にとって作成のハードルが高いです。弁護士に告訴状の作成を任せれば、告訴を受理してもらいやすくなります。

加害者を追求するために何をすべきかがわかる

弁護士は、加害者の責任を追及するためにすべきことを教えてくれます。

刑事・民事いずれについても、責任を追及するためには証拠が不可欠です。たとえば、衣服に付着した加害者の毛髪や体液、LINEのメッセージのやりとりなどが証拠になり得ます。

もっとも、証拠の多くは、時間の経過とともに消えてしまいます。弁護士に相談すれば、何が証拠になるか、どのように保全すればいいかがわかるため、犯行の証拠を残しておくことが可能です。

他にも、加害者の責任を追及するための法律上の手段を具体的に聞けます。泣き寝入りしないためには、弁護士への相談に大きな意味があります。

加害者が特定できない時でも捜査で特定できることもある

見知らぬ人に性交を強いられ、加害者が誰かわからないケースも多いです。加害者を特定できていないときでも、弁護士に相談すれば告訴できる可能性があります。

当事務所が相談を受けた中には、犯行場所や犯人を特定できないために警察に告訴を受理してもらえなかったケースがあります。当該事例では、犯行場所や犯人についてある程度割り出せることなどを伝え、警察に告訴を受理させました。

刑事告訴に強い弁護士に依頼すれば、警察に断られたケースでも告訴を受理させることが可能です。上記事例について詳しくは、以下でご紹介しています。

解決事例:レイプ被害について、強制性交致傷罪(現:不同意性交等致傷罪)で刑事告訴が受理された案件

不同意性交等罪で刑事告訴するメリット

刑事告訴には、犯人に刑罰を与えられるとともに、示談金を受け取れる可能性が高まるというメリットがあります。

以下で、不同意性交等罪で刑事告訴するメリットについて詳しく解説します。

加害者に刑事罰を与えることができる

刑事告訴をすれば、加害者に刑罰を科せる可能性が高まります。

現在の不同意性交等罪は、被害者による告訴がなくても起訴して刑事裁判にできます。もっとも、検察官が起訴するかを判断する際には、被害者の意思が大変重要なポイントです。告訴によって処罰を求める意思を示せば、検察官としても起訴する方針を採りやすくなります。

また、不同意性交等罪は密室で二人きりでなされる事例も多く、そもそも警察・検察が被害を把握するのが困難です。刑事告訴をすれば、捜査機関に被害の事実を伝えられます。

不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。執行猶予は3年以下の懲役にしかつけられません。したがって、不同意性交等罪で有罪のときには原則として実刑判決がくだされ、加害者は刑務所に収監されます。被害者がケガをして不同意性交等致傷罪が成立すれば「無期または6年以上の懲役」とさらに重くなります。

こうした重い刑罰を加害者に科すためには、刑事告訴が有効な方法です。

場合によっては示談金を受け取って解決することもできる

刑事告訴によって、加害者が示談金の支払いに応じるケースもあります。

加害者にとっては、告訴を受けると、刑事裁判で有罪判決をくだされ、前科がつく可能性が現実のものとして感じられるようになります。

とりわけ不同意性交等罪においては、実刑判決がくだされるケースが大半です。刑務所に入るのを避けるためには、被害者と示談をして許しをうけ、不起訴にしてもらうほかありません。

加えて、勤務先を解雇されて転職も難しくなる、家族に知られて離婚されるなど、性犯罪で前科がつくと社会的経済的に大きな不利益を受けます。

そのため、告訴を受けた加害者は、処罰を避けるために示談交渉に積極的になりやすいです。

示談する際には、被害者は高額な示談金を受け取れます。もちろん、示談に応じるかは自由です。加害者からの申し出を断る選択肢もあります。

心身に受けた傷をお金だけで解決できるわけではありませんが、ひとつの区切りとして前を向くきっかけにする方もいらっしゃいます。刑事告訴によって示談交渉が進む可能性もある点は頭に入れておいてください。

過去に受けた不同意性交被害について

過去に受けた不同意性交の被害にお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

被害から時間が経っているときに問題になるのが、公訴時効です。公訴時効期間を過ぎてしまうと、加害者を告訴して刑事裁判にかけ、処罰することはできません。

従来、不同意性交等罪の公訴時効期間は10年、不同意性交等致傷罪では15年でした。しかし、性犯罪の被害を申告するには勇気が必要であり、被害者が幼いときには被害の認識すら困難です。10年や15年では短すぎるケースも多いでしょう。

そこで2023年の法改正では、公訴時効期間の延長もなされています。それぞれ5年延長され、不同意性交等罪は15年、不同意性交等致傷罪は20年となりました。

さらに、18歳未満で被害を受けた際には、被害者が18歳になるまでの期間が加算されます。たとえば、12歳のときに被害を受けたケースでは、18歳になるまでの6年が加算され、不同意性交等罪の公訴時効期間は被害時から21年となります。18歳から15年のカウントがスタートすると考えるとわかりやすいです。

時効期間の延長は、2023年6月23日に施行されました。施行時点で時効が完成していない事案については、期間の延長が適用されます。

過去の被害についても時効期間が延長されている可能性があります。時間が経っていても証拠があれば告訴できますので、諦めずにご相談ください。

被害者弁護に強い弁護士に相談する

弁護士に相談する際に注意して欲しいのが、被害者側の弁護に力を入れている弁護士を探すことです。

告訴状の作成や警察への説得にはコツがあります。被害者側の弁護に精通している弁護士に依頼すれば、ノウハウがあるため告訴を受理されやすいです。

刑事事件を積極的に扱っている弁護士であっても、ほとんどが加害者側に立っています。被害者が相談しても、十分な対応をしてもらえるとは限りません。

被害者弁護に強い弁護士に相談・依頼するようにしましょう。

不同意性交被害を受けた時には…

ここまで、不同意性交等罪の被害にあった際に弁護士に相談する意味・メリットを中心に解説してきました。被害にあった際には、弁護士に相談すれば、刑事告訴が受理される可能性を高められます。加害者へ刑罰を科せるのはもちろん、示談金の交渉を進めやすくなる点もメリットです。

不同意性交の被害を受けた方は、リード法律事務所までご相談ください。

当事務所は被害者の方からご依頼を受け、性犯罪について刑事告訴を数多く受理させてまいりました。証拠収集、告訴状の作成、警察とのやりとり、加害者との交渉などをすべてお任せいただけます。

泣き寝入りする必要はまったくありません。不同意性交の被害を受けた際には、まずはお問い合わせください。

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