最終更新日:2023.05.31
被害者側の刑事告訴に強い弁護士の選び方・6つのチェックポイント
犯罪の被害に遭って刑事告訴を検討されているものの、「弁護士に依頼すべきかどうか悩んでいる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論からいうと、刑事告訴は弁護士に依頼するのがおすすめです。
この記事では、その理由とともに弁護士選びの際に重要となるチェックポイントについて詳しく解説していきます。
目次
刑事告訴の被害者側こそ弁護士がいると安心
「刑事告訴」とは、犯罪の被害者その他一定の関係者が捜査機関に対して犯罪事実を申告して、犯人の訴追ないし処罰を求める意思表示のことをいいます。
告訴権者となるのは、犯罪により害を被った者つまり「被害者」です(刑事訴訟法第230条参照)。また被害者の法定代理人や、被害者が死亡した場合には配偶者・直系の親族・兄弟姉妹も告訴権者となります(同法第231条参照)。
そして、「書面または口頭で」検察官または司法警察員(警部以上の警察官)にしなければなりません。書面とは「告訴状」のことをいい、口頭による告訴の場合には捜査機関によって「告訴調書」が作成されます(同法第241条参照)。
司法警察員が告訴を受けたときは、速やかに書類・証拠物を検察官に送付しなければならないと決まっています。
しかし実務上、書類の不備などの理由で警察官になかなか告訴状を受理してもらえないという問題もあります。
告訴状の作成を不備なく完璧に行うには専門的な知識が必要となるため、被害者が自力で告訴するのは簡単であるとは言えません。また、告訴された側は今後の刑事手続きに備えて弁護士をつけてくる可能性も高いため、こちらとしても代理人として弁護士に依頼しておくことが安心でしょう。
刑事告訴を依頼する弁護士の選び方・6つのチェックポイントとは?
それでは、刑事告訴を弁護士にお願いしたい場合、弁護士のどのような点を重視して依頼すべきなのでしょうか。
「弁護士に依頼するのは初めて」という方が多いと思います。弁護士の職域は、刑事事件以外にも一般民事事件から企業法務案件・渉外案件と多岐にわたります。したがって弁護士に応じて、それぞれの強みが異なるのです。
刑事告訴について弁護士に依頼する際には、刑事事件に明るいということのほかにもいくつかの重要なチェックポイントがありますので、以下で詳しく解説していきましょう。
刑事告訴に強い弁護士かどうか
まず弁護士選びの重要なポイントとして、「刑事告訴に強い弁護士」であるかどうかはチェックしておくべきです。
捜査機関は、被害者から告訴状を受け取った場合には、原則として受理しなければなりません。しかし、申し立ての内容やその他の資料から犯罪が成立しないことが明らかである場合には、捜査機関が受理を拒んでも違法ではなくなる可能性があります。そのため、きちんとした告訴状を作れないと、そもそも告訴を受け付けてくれないというリスクがあります。
そこで被害者は、告訴状の記載から犯罪事実に該当していることを適切に捜査機関に申述することが重要なのです。刑事告訴に強い弁護士に依頼すれば、専門的な知識・経験から適切な告訴状を作成してもらうことができます。
刑事告訴に強い弁護士にお願いしておくことで、詳しいヒアリングから相手の行為がどのような犯罪行為に該当しているのかということを適切に分析し、さらに必要となる証拠を揃えたうえで、しっかりとした告訴状を作ってもらえます。
また警察が正当な理由もないのに告訴状を受理しない場合には、警視庁や警察署本庁、監察官室などに対して抗議していくこともあります。公安委員会に対して適切に働きかけることもできます。
実績や実務経験は十分かどうか
次に刑事告訴について、その弁護士の実績や実務経験は十分なものと言えるかという点も重要なチェックポイントです。
刑事告訴について多くの経験を積んでいる弁護士は、さまざまな刑事犯罪に関する告訴状を作成してきた実績があると考えることができます。その犯罪の嫌疑があるといえるために強調しなければならない事情や、受理されるために必要となる事項についても法的に深い理解があることを期待できます。
また、刑事告訴に関して相当な数をこなしているということは、経験に裏付けされた実績があるということで依頼者にとっては大きな安心材料となります。
法的知識や制度に対する理解があるのはもちろん、実際にその知識を活用して制度・手続きを踏んで多くの紛争を解決している弁護士の方が信頼できます。
自分自身がその弁護士を信頼できるかどうか
被害者自身が依頼しようと思う弁護士を信頼できるかどうか、という点も重要なポイントです。
被害者の方は、相手の犯罪行為によって心身共に大きなダメージを受けています。しっかりとした告訴状を作成するためには、被害者の方から詳細なヒアリングをすることが必須になります。しかし、そのようなヒアリングは被害者が犯行を追体験して、思い出したくない辛い過去を呼び起こすことに繋がる可能性をも孕んでいます。
したがって、依頼する弁護士との間で信頼関係を築くことができない場合には、プライベートな情報を話しづらかったり、弁護士に話すこと自体が辛いと感じてしまったりするケースもあります。
そのため、告訴状を作成するうえで重要となる事実を聴取して、刑事告訴の先の紛争解決を見据えて行動するためには、その弁護士を信頼できることがなによりも重要となるのです。
したがって、あなたが信頼でき、話しやすいと思える弁護士を選ぶことが刑事告訴を適切に行うためにはポイントとなります。
気軽に相談できる環境が整っているか
刑事事件について弁護士に依頼する場合には、被害者の方が疑問や不安を抱えた状態が、すぐに解消されるような環境が理想的です。
そのため弁護士に対して気軽に相談できる環境が整っていることは重要です。
弁護士事務所によっては、LINEや電話などで気軽に相談できる環境を整えている事務所もあります。特に会社員など日中仕事をしている人は、夜間や休日でなければ対応しにくいという場合もあるでしょう。
そのような方は、夜間や土日祝日であっても対応可能な事務所に依頼するのがスムーズな場合もあります。したがって、気軽に相談できる環境を整えている事務所に依頼するということもポイントのひとつです。
どんな規模の事務所なのか
どれくらいの規模の事務所なのかという点も弁護士選びには重要なポイントです。その事務所にはどれくらいの弁護士が所属していて、担当弁護士がどのように決められるのかということです。
例えば、大手事務所の場合、どの弁護士が事件を担当するのかは依頼者が自由に指名することができない可能性があります。
一方で個人事務所の場合であれば、最初のヒアリングから事件処理まで同じ弁護士に対応してもらえる可能性が高く、依頼者とも信頼関係が築けるため安心感があります。
弁護方針に納得できるかどうか
依頼者が依頼した弁護士の弁護方針に納得できるかどうか、という点も弁護士選びのポイントです。
刑事告訴をすることだけでなく、依頼者が抱えている問題を解決するためのさまざまな方法を提案してくれる弁護士に依頼することが重要です。
当然、手続きを行う際にはすべてが思い通りに行くということは少なく、依頼者にとってメリットばかりがあるわけでもありません。そのため、ときには依頼者にとって耳の痛い話、デメリットについても適切に説明してくれることも、将来を見据えるうえでは重要なことです。
依頼者が希望する弁護方針に対して多くのアイディアを併せ持っている弁護士にお願いすることは心強さに繋がります。
まずは相談してみよう
ここまでで解説したようなチェックポイントは、どのように確認することができるのでしょうか。
お願いしたいと思っている弁護士に実際に会って、直接話して確認することがベストでしょう。初回相談の機会を利用して上記チェックポイントを確認し、その弁護士に依頼するかどうかを判断しましょう。
相談したからと言って必ず依頼する必要はない
ここで正確に理解しておかなければならないのは、弁護士に相談したからと言って必ず依頼しなければならない、ということはないということです。
あなたが心から納得してその弁護士に頼みたいと思って、委任契約書を取り交わすまでは契約関係が発生しませんので、他の弁護士にも相談したいと思った場合には、一旦依頼するかどうか検討したい旨を伝えましょう。
初回相談時に費用感も相談しよう
弁護士に依頼する際には、弁護士費用についても初回相談で忘れずに確認することが重要です。あなたの予算についても最初に伝えておくことでスムーズな受任につながる可能性があります。
事務所によっては、あなたの経済状況に応じて、費用の金額のみならず支払い方法などについて柔軟に相談に乗ってくれるところもあるでしょう。
気になることはどんなことでも伝えよう
依頼者は通常、法律に関して詳しくありません。あなたの思いや願いを法的な主張や手続きに昇華させるのが弁護士の仕事です。
そのため、分からないことを遠慮なく聞くということはもちろん、相談したいことについては、どんな小さな情報でも伝えておくことが大切です。