詐欺被害にあったら

最終更新日:2024.06.06

詐欺被害に遭ったらどうすればいい?刑事告訴のメリットとデメリットを解説

「詐欺被害に遭ってしまった」とお悩みでしょうか?

詐欺被害に遭ったときには、刑事告訴が有力な選択肢です。刑事告訴をすれば、加害者に刑罰を科せるほか、被害額を返還してもらえる可能性もあります。

この記事では、詐欺被害に遭ったときに刑事告訴をすべきかに関して、メリットとデメリットを解説しています。詐欺被害を受けてお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。

詐欺被害に遭ったら刑事告訴できる

詐欺被害に遭ったときには、刑事告訴が可能です。刑事告訴とは、捜査機関に対してする、犯人の処罰を求める意思表示をいいます。

まずは、詐欺罪の概要や、加害者に追及できる責任など、基本的な知識を解説します。

詐欺罪とは

詐欺罪は、人から金品をだまし取る犯罪です(刑法246条)。身近な犯罪のひとつであり、様々な手口が知られています。

よくニュースで取り上げられるのは、「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などの特殊詐欺です。他にも、結婚詐欺、投資詐欺、寸借詐欺、無銭飲食など、多くの手口があります。手口は巧妙になっており、気がつかないうちに被害に遭っているケースも多いです。

一般の方にとっては、特に巻き込まれやすい犯罪といえます。

詐欺罪の成立要件や手口などについて詳しくは、以下のページを参考にしてください。

参考記事:詐欺罪とは?量刑や詐欺手口の種類、被害に遭ったらすべきことを解説

刑事的責任だけでなく、民事的責任も追及できる

刑事告訴をすれば、加害者に刑事責任を問えます。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。罰金刑はなく、重大な犯罪といえます。実刑判決がくだされて、加害者が刑務所に収監されるケースも多いです。

加えて、民事責任も追及できます。

加害者は被害者の財産を違法に騙し取っており、民事上の不法行為が成立します。被害者の側から、受けた被害について損害賠償請求が可能です。相手に支払能力があれば、金銭的にも被害を回復できます。

詐欺被害に遭った際には、刑事・民事両面での責任追及が考えられます。

詐欺罪で加害者を刑事告訴するメリット

犯罪の中には、「親告罪」という類型に該当するものもあります。親告罪の場合、起訴して裁判にかけるために、刑事告訴が不可欠です。

詐欺罪は親告罪ではありません。したがって、告訴をしなくても加害者に刑罰を科せます。

しかし、詐欺被害について刑事告訴することには多くのメリットがあります。

加害者に刑事罰を与えられる

告訴をすれば、加害者に刑事罰を科せる可能性が高まります。

詐欺罪は親告罪ではないため、告訴をしなくても起訴されるケースはあります。しかし、詐欺は発覚しないように行われる場合が多く、被害者が申告しないと捜査機関に犯行が判明しづらいです。告訴により捜査機関に犯罪事実を伝えるのが、刑罰を科すためにより良い方法といえます。

警察が告訴を受けたときには、書類や証拠物を検察に送致しなければなりません(刑事訴訟法242条)。

通常の事件であれば、場合によっては微罪事件として検察に送致しない処理も許されています。しかし、告訴された事件は必ず検察に送致されます。被害届を出すだけでは捜査がなされずに放置されるケースもありますが、告訴であれば確実に捜査を進めてもらえるのです。

捜査機関に犯罪事実を伝えて捜査してもらい、最終的に刑罰を科せる可能性を高められるのは、告訴する大きなメリットです。

示談で被害回復ができる可能性が高まる

刑事告訴によって、金銭的な被害回復につながるケースもあります。

これが詐欺被害者が刑事告訴をする最大のメリットです。

確かに、刑事告訴は、あくまで刑事上の処分を求めるものです。刑事裁判で有罪判決が出ても、被害額を返してもらえるとは限りません。

しかし、被害額が数百万円を上回るケースでは、実刑判決が出る可能性が高いです(数百万円に至らないケースでも、前科がつき、就職などで社会的に不利益をうけるおそれがあります。)詐欺加害者が実刑を回避するには、被害者と被害弁償を行って示談をするしかありません。したがって、刑事告訴を行うと、加害者に対して、刑務所にいくか、示談金を支払うかという究極の二択を迫ることができるようになります。

詐欺の案件で民事裁判を起こして民事責任を追及する場合、金銭が返還されることは、ほぼありません。民事裁判を起こし、勝訴判決を取ることはそれほど難しくありませんが、確定した判決を無視しても、法的な制裁がある訳ではありません。民事の場合、判決を無視する、ということが合法的にできてしまいます。

このように、民事裁判を起こしても、無視することが可能であり、また、それに対する制裁が無く、判決をとっても、絵に書いた餅となってしまう可能性が高い一方、刑事告訴を行うと、加害者は、被害金を返還しなければ、刑務所に収監されてしまうことになり、

刑罰による不利益を避けるために、加害者の側に示談をする極めて強力な動機が生じます。示談の際には被害補償が必要になるため、例えば親族から借金をしてでもお金を用意する方もいます。被害者から見ると、わざわざ民事訴訟を提起することなく、示談により被害を回復できるのです。

詐欺被害の場合、刑事告訴を行うと、刑務所に収監されることを背景に交渉を進めることができ、結果的に民事責任を追及する手段として極めて合理的です。

詐欺未遂でも刑事告訴できる

加害者が騙そうとしたものの、被害者が気がついて財産を渡さなかったときには、詐欺未遂となります。詐欺罪は未遂であっても処罰対象であり、刑事告訴が可能です(刑法250条)。

詐欺未遂のときには、金銭的被害は発生しておらず、民事上の損害賠償請求は必要ないかもしれません。とはいえ、騙そうとした犯人を許せない気持ちもあるでしょう。その場合、告訴をして処罰を求める方法がとれます。

未遂であっても、犯罪である事実に変わりはありません。次の被害者を生まないためにも、刑事告訴は有効な手段です。

詐欺罪で加害者を刑事告訴するデメリット

詐欺での刑事告訴には、大きなメリットがあります。もっとも、告訴ですべてを解決できるとは限りません。以下の点には注意してください。

返還請求ができない可能性がある

告訴は、あくまでも刑事上の処罰を求めるものです。刑事訴訟で有罪判決が出ても、損害賠償を支払ってもらえるわけではありません。賠償を受けるには、民事上の請求をする必要があります。

もっとも、民事的な解決は難しい場合も多いです。騙し取ったお金をすでに使ってしまった、詐欺グループの末端で少しの分け前しかなかったといった理由で、賠償してもらえない可能性があります。たとえ法的に請求権があっても、加害者が財産を持っていなければ、実際には返還を受けられません。

刑事告訴をしても、財産的な被害を回復できない場合もある点には注意してください。

詐欺罪は立証が難しい

詐欺は立証が難しい犯罪といえます。

発覚しないように行われるため、知り合いでないときには犯人の特定につながる証拠を得にくいです。加えて、犯人の内心に「騙す意思」があったことを証明するのが難しいケースもあります。

令和3年のデータでは、詐欺の認知件数は33,353件、検挙件数は16,527件で、検挙率は49.6%です(参考:令和4年版犯罪白書)。捜査機関に明らかになっていても、犯人の検挙につながるのは半数程度です。他の犯罪と比べて、犯人特定に至りづらいといえます。

また、令和3年に詐欺罪で起訴されたのは8,653人、不起訴となったのは7,764人であり、起訴率は52.7%です(参考:検察統計)。不起訴になった理由は様々考えられますが、裁判での有罪立証が困難だと判断されたケースも想定されます。

立証が難しいため、警察が「罪に問えない」と判断して、告訴を受理してくれない場合も多いです。受理してもらえなければ、捜査が進まず、加害者に刑罰を科せなくなってしまいます。

詐欺被害に遭ったと気付いたら?

詐欺被害に遭ったと気がついたときには、「財産を返してもらいたい」「加害者を許せない」といった気持ちが湧くでしょう。「なんて愚かなことをしたんだ」と自分を責めてしまう方も多いかもしれません。

自力で刑事告訴や民事上の返還請求をするのは困難です。ひとりで悩まずに、専門家に相談するようにしてください。

すみやかに弁護士に相談する

法律面で困っていれば、すぐに弁護士に相談して、最適な解決方法を聞きましょう。

刑事告訴を望むのであれば、証拠収集や告訴状の作成が必要になります。警察は「証拠がない」「民事不介入」などの理由をつけて、告訴を受理してくれないケースが多いです。受理の可能性を高めるには、自力で進めようとせずに弁護士に依頼するのがベストです。

弁護士には、加害者との示談交渉や民事上の損害賠償請求も任せられます。被害を回復するために、まずは弁護士にご相談ください。

まとめ

ここまで、詐欺被害について刑事告訴するメリット・デメリットなどについて解説してきました。刑事告訴には、刑罰を科せるとともに、民事上の返還請求にもつながるメリットがあります。

詐欺で刑事告訴をお考えの方は、リード法律事務所までご相談ください。

当事務所は、被害者から依頼を受けて数多くの刑事告訴を受理させており、詐欺罪で告訴が認められた事例も数多くございます。証拠収集、告訴状の作成、警察とのやりとり、加害者との示談交渉などをお任せいただけます。

詐欺被害を受けた方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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