詐欺被害にあったら

最終更新日:2024.05.08

詐欺被害者側の弁護士費用や選び方|民事と刑事で異なる点を解説

詐欺被害に遭い、被害金額を取り返すには、弁護士に依頼するのが有効な方法です。もっとも、弁護士費用が気になったり、選び方がわからなかったりする方も多いでしょう。加えて、民事・刑事どちらの手段をとるべきかお悩みかもしれません。

この記事では、詐欺被害を受けた際の弁護士費用や弁護士の選び方について、民事と刑事の違いにも触れつつ解説しています。詐欺被害に遭い、返金してもらいたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

詐欺罪の成立要件や手口について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

詐欺罪とは?量刑や詐欺手口の種類、被害に遭ったらすべきことを解説

投資詐欺被害に遭ったら、すぐするべきことは?詐欺の特徴と返金方法

詐欺被害に遭ったらどうする?

騙されたと気がついても、何をすべきかわからないかもしれません。まずは、詐欺被害を受けた際にすべきことを解説いたします。

自分を責めないですぐに動き出す

詐欺の被害に遭うと「騙されてしまった自分はなんて愚かなんだ」とご自身を責めてしまう方がいらっしゃいます。また、ショックの余り、行動する気力が出ないかもしれません。

とはいえ、冷静に考えると悪いのは当然加害者です。ご自身ではなく、加害者の責任を追及するために行動しましょう。早めに動けば、被害を回復できる可能性も高まります。

証拠を収集・保全する

加害者の責任を問うために、とりわけ重要なのが証拠です。民事上の損害賠償請求をする場合でも刑罰を求める場合でも、証拠は必須になります。

詐欺の証拠になるものとしては、以下が挙げられます。

  • 相手とのやりとりの記録(メール、LINE、SNSのメッセージなど)
  • 取引の際に作成した書面(契約書など)
  • 金銭を支払った記録(振込明細書、領収書など)
  • 振込先の口座情報
  • 犯人の個人情報(名前・会社名・住所・電話番号など)

証拠になり得るものは他にもあります。意味があるかどうかわからなくても、被害に関係するものは残しておくようにしましょう。時間の経過とともに消えてしまったり、犯人に隠滅を図られたりする証拠もあるため、早めに収集・保全してください。

警察や弁護士に相談する

詐欺犯人に対して、ご自身だけで返金・返品を求めるのは困難であり、身の危険が生じるリスクもあります。ひとりで悩まずに関係機関に相談しましょう。

相談先としては、まず警察を思い浮かべるかもしれません。たしかに、捜査機関に相談するのはひとつの方法です。しかし、「証拠が不十分である」「民事上の紛争には介入しない」などの理由で、警察が取り合ってくれないケースがよくあります。

そこで、弁護士への相談がオススメです。被害者に寄り添って対応している弁護士であれば、「返金してもらいたい」「刑罰を科したい」といった要望に親身に対応してもらえます。

詐欺被害者が弁護士に相談・依頼するメリット

詐欺被害者が弁護士に相談・依頼するメリットとしては、以下が挙げられます。

とるべき法的手段がわかる

そもそも、どういった法的手段があるかわからない方もいらっしゃるでしょう。弁護士に相談すれば、とれる法的手段やメリット・デメリットに関するアドバイスを受けられます。

法的手段としてメインになるのは、民事上の請求(民事訴訟)と刑事告訴の2つです。どちらを選ぶべきかはもちろん、証拠が足りないなどの要因で責任追及が難しいケースなのかもわかるため、無駄に時間や費用をかけるリスクを避けられます。

以下で、民事訴訟と刑事告訴について詳しく解説します。

民事訴訟

民事上の請求では、返金・返品を求めます。被害額の賠償だけでなく、精神的な苦痛に対する慰謝料の請求も可能です。通常は最初に交渉で返還を請求し、応じないときに裁判所に訴訟を提起する流れになります。

民事訴訟を通じた請求は多くの弁護士が扱っており、一般的な方法です。もっとも、勝訴判決を得ても相手が支払ってくれるとは限りません。相手が判決に従わず、強制執行できる財産もないために、結局被害を回復できないケースが極めて多いです。

詐欺の場合は、裁判では勝ったが回収はできないというケースが多く、弁護士に依頼して時間とお金を費やしたものの、結局1円も回収できなかった、ということも多いのが実情です。このような場合、詐欺被害の損害が更に拡大する結果になります。

刑事告訴

刑事告訴とは、捜査機関に対して、被害を受けた事実と処罰を求める意思を伝える行為です。告訴する際には告訴状を提出します。

刑事告訴が受理されれば捜査を進めてもらえるため、相手に刑罰を科せる可能性が高まります。刑罰をおそれた加害者が示談交渉を申し出れば、被害者は示談金を受け取って結果的に被害を回復できるケースも多いです。

特に実刑判決が見込まれる場合には、加害者に対して、刑務所に入るか、お金を返して示談するかの究極の二択を迫れます。示談のために、親族に借金までしてお金を用意するケースもあります。

刑事告訴は効果的である一方で、専門的に扱っている弁護士は少ないです。警察が受理に積極的ではなく、弁護士であってもなかなか選択しづらい方法といえます。刑事告訴に精通した弁護士を探して相談・依頼しましょう。

詐欺罪による刑事告訴については、以下でも詳しく解説しています。

詐欺被害に遭ったら刑事告訴できる?事例と刑事告訴するメリットを解説

手続きを代わりに進めてもらえる

民事訴訟、刑事告訴のいずれについても、弁護士に依頼すれば手続きを代わりに進めてもらえます。

民事訴訟の場合は訴状、刑事告訴の場合には告訴状など、法的手続きをする際には書面を作成しなければなりません。事前準備として、証拠の整理も不可欠です。慣れていない方が自力で進めるのは大変でしょう。

加えて、相手方とのやりとりが精神的な負担になります。弁護士に交渉を任せてしまえば、やりとりに伴うストレスから解放されます。

手続きや交渉を代行してもらい、ご自身の時間的・精神的な負担を減らせる点は、弁護士に依頼するメリットのひとつです。

返金を受ける可能性を高められる

被害を受けても、ご自身で返金を求めるのはハードルが高いです。詐欺をした犯人が簡単に返してくれるわけではありません。交渉や訴訟をしようにも、どうすればいいかわからない方も多いでしょう。

弁護士は証拠の収集をサポートし、被害を受けた事実を法的に証明できるように活動いたします。加害者を追及する方法も熟知していますので、状況に応じて最適な方法を選択できます。

返金を受けて被害を金銭的に回復しやすくなる点は、弁護士に依頼する大きなメリットです。

詐欺被害者が弁護士を選ぶ際のポイント

依頼を考えていても「どの弁護士を選べばいいかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。詐欺被害者が弁護士を選ぶ際のポイントを解説します。

民事・刑事のどちらで解決するか

まず重要なポイントが、民事訴訟と刑事告訴のいずれで問題を解決するかです。詐欺被害に関して弁護士に依頼するケースにおいて、民事と刑事の違いを表にまとめました。

民事訴訟刑事告訴
内容返金を求める刑事罰を求める(示談による返金も可能)
費用弁護士による弁護士による
被害の回収可能性極めて低い民事訴訟より高い
扱っている弁護士多いごく僅か

以下で、民事・刑事が適したケースをそれぞれ解説します。

民事が適したケース

民事が適しているのは、強制執行の対象にできる財産がわかっているケースです。

民事訴訟をして勝訴しても、相手が支払いに応じるとは限りません。無視されたときには、強制執行をして相手の財産から回収します。

ただし、裁判中に財産がなくなるリスクが高いため、確実に回収するためには裁判をする前に保全手続きが必要です。あらかじめ保全できる財産がわかっていれば、最終的に相手の財産から回収できるため、民事での請求が適しています。

対象にできる財産の例としては、以下が挙げられます。

  • 抵当権がついていない不動産
  • 抵当権がついていても余剰価値がある不動産
  • 十分な残高がある預金

十分な財産が相手方にあると具体的に把握できていれば、民事訴訟を通じた回復が可能です。

刑事が適したケース

現実には、加害者には財産がない、または財産自体は存在していても被害者からはわからないケースがほとんどです。詐欺は計画的に行われているケースが多く、この場合、騙し取ったお金は、海外口座に送金されている、現金化されている、法人を複数介しているなど、強制執行できない状態で保管されています。

保全・執行の対象にできる財産が無い、もしくは不明なときには、刑事告訴が効果的になります。

刑事告訴は、本来は加害者の刑事処分を求める行為です。とはいえ、刑罰を科されるのをおそれた加害者が示談交渉に積極的になり、自発的に金銭を返してくれる場合があります。本人に財産がないにしても、親族などから借りて用意するケースも多いです。

刑事告訴をすれば、結果的に民事訴訟をせずともお金を返してもらえる可能性があります。相手の財産がわからないケースでは、刑事告訴が非常に有効です。

専門にしているか

弁護士の専門分野も確認しなければなりません。

多くの方は「弁護士は法律関係なら何でもわかっている」と考えているかもしれません。しかし実際には、弁護士によって得意にしている分野・手続きは異なります。

そもそも、弁護士の多くは犯罪加害者側で活動しています。責任や刑罰を軽くするための方法には詳しくても、被害者に寄り添った対応には慣れていません。

詐欺被害者側の弁護士であっても、多くは民事上の請求を中心にしています。しかし、前述の通り、民事訴訟では回収が難しいケースが多いです。

被害者の立場で民事訴訟だけでなく刑事告訴も行っている弁護士であれば、ベストな方法で責任追及ができます。とはいえ、刑事告訴に精通している弁護士は少ないです。事前に専門分野を確認しておきましょう。

解決実績が豊富か

弁護士の過去の解決実績も確認するようにしましょう。

「○○を専門にしている」「○○に強い弁護士」と宣伝していても、実際にはあまり経験がない場合もあります。あらかじめ解決実績をチェックするのがよいでしょう。

また、弁護士が複数いる事務所の場合、実際には刑事告訴の経験がほとんどない若手の弁護士が担当する、ということもあります。ホームページなどで実績が確認できないときには、相談の際に聞いてみるのもひとつの方法です。

本当に詐欺被害者のために活動してきた実績のある弁護士に相談・依頼すれば、納得のいく結果を得やすくなります。

詐欺事件で必要な弁護士費用

詐欺の被害者が依頼した場合にかかる弁護士費用を、民事と刑事に分けてご紹介します。

民事の一般的な相場

一般的に弁護士費用は「相談料」「着手金」「成功報酬」などから構成されています。

相談料は、法律相談をした際にかかる費用です。相場は30分5,500円(税込)程度になります。民事でも刑事でも、相談料にあまり差はありません。

着手金は、弁護士に依頼した際に最初に支払う費用です。結果的に相手から金銭を回収できたかに関係なく発生します。事務所によって異なりますが、民事で依頼する場合、着手金の相場は10~50万円程度です。「請求額の8%」などと定めている事務所や、着手金無料で完全成功報酬制の事務所もあります。

成功報酬は、金銭の回収に成功した場合に支払う費用です。実際に回収できた金額の5~30%程度が相場になります。着手金無料で完全成功報酬制の場合には、割合が高くなりやすいです。

他にも、裁判所出廷や出張の際の日当(3~5万円程度)や実費(郵便代、交通費、印紙代など)がかかります。

刑事告訴する際の費用

刑事告訴を取り扱っている事務所は少ないため、当事務所の費用をご紹介します。

相談料は初回30分で5,500円(税込)です。

相談のうえ、ご依頼いただく際には着手金をいただきます。着手金は40万円からになります。

実際に刑事告訴に成功した際の報酬金は40万円からです。

金額は、事案の難易度や証拠の充実度によって増減する場合があります。ご依頼いただく際には、日当や実費も含めて丁寧に説明いたしますのでご安心ください。

詐欺の被害に遭われた方からよくある質問

詐欺被害者の方からよく受ける質問をまとめました。以下に記載のない点につきましては、こちらをご確認ください。

相手が外国人の場合でも対応は可能ですか?

詐欺組織は国際化が進んでおり、外国人が詐欺加害者のケースもあります。相手が外国人でも対応は可能です。

もっとも、犯罪人引渡条約を締結していないなどの理由で、告訴をしても意味がないケースがあるため、事前に確認する必要があります。まずはお問い合わせください。

相手の素性がわからなくても依頼は可能ですか?

特殊詐欺やネットを通じた詐欺など、詐欺事件では相手の素性がわからないケースも多いです。相手の素性がわからない場合でもご依頼いただけます。

知り合った場所・連絡先・電話番号・住所・勤め先などの情報がわかれば特定につながりやすいです。できる範囲で情報を残しておいてください。

民事で解決できなかったが、刑事告訴できますか?

詐欺事件で民事では解決できなくても、刑事告訴は可能です。刑事告訴によって、相手が示談交渉に応じて解決できるケースがあります。

実際に、当事務所では民事でまったく回収できなくても刑事で回収できた事例がございます。

家族や友人など誰にも知られずに依頼は可能ですか?

ケースによります。家族や友人が詐欺に関係している場合には、告訴をした後に捜査機関から事情聴取が入る可能性があります。

知り合いに発覚するのが心配であれば、相談の際におっしゃってください。もちろん、弁護士から情報が漏れることはありません。

他県からでも依頼は可能ですか?

事務所がある東京都以外からでもご依頼いただけます。実際に、首都圏はもちろん、他の地方からご依頼くださる方もいらっしゃいます。電話やオンラインでの面談も可能です。

ただし、告訴のために警察署に赴くのに日当(半日5万円、全日10万円)や交通費がかかる点はご了承ください。

詐欺被害に遭われた方はリード法律事務所にご相談ください

ここまで、詐欺被害に遭われた方に向けて、弁護士費用や選び方について、民事と刑事の違いにも触れつつ解説してきました。

詐欺被害に関しては、民事訴訟では難しくても、刑事告訴によって解決に近づくケースがあります。状況に応じてベストな方法を検討しましょう。

詐欺被害に遭って返金を求めている方は、リード法律事務所までご相談ください。

当事務所は犯罪被害者弁護に力を入れており、民事上の解決だけでなく刑事告訴もサポートしています。実際に詐欺罪で刑事告訴を受理させた事例も数多くございます。

「詐欺犯に返金させたい」とお考えの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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