窃盗・強盗被害にあったら

最終更新日:2023.10.13

【窃盗被害】盗まれた物が返ってきた場合も刑事告訴できる?未遂についても解説

「盗まれた物が返ってきたけど窃盗で刑事告訴できる?」

「窃盗の途中で捕まったときは罪になるの?」

「窃盗の犯人が誰か特定できない」

などとお悩みではないですか。

窃盗罪は自分の物にするつもりで他人の物を盗った段階で成立するため、後から盗品が返還されたとしても犯罪のままです。また、窃盗は未遂でも罪になります。いずれの場合でも、刑事告訴をすれば犯人の責任追及が可能です。

また、犯人を特定できていなくても、告訴が受理される場合があります。

この記事では、窃盗の成立要件のほかに、刑事告訴の流れなどについても解説しています。窃盗の被害に遭われた方は、ぜひ最後までお読みください。

盗まれた物を返してもらった後でも刑事告訴できる?

盗まれた物が犯人から手元に返還されたとしても、刑事告訴できます。

窃盗罪は犯人が物を盗って自分の物にした時点で成立し、その後の行動によって犯罪の成否は変わりません。最初から自分の物にするつもりで盗ったときには、後から心変わりして被害者に返したとしても窃盗罪です。

もっとも、最初から返すつもりであった場合には「不法領得の意思」がないとして、罪にならないケースがあります。たとえば、自転車を「ちょっと借りるつもり」で使ってすぐに返したときには、窃盗罪に問われない可能性があります。

後から物が返還された場合には、盗った時点で犯人に自分の物にするつもりがあったかどうかが、窃盗罪の成否を分けるポイントです。

窃盗罪の要件

そもそも窃盗罪は、「他人の財物」を「窃取」すると成立する犯罪です(刑法235条)。

「他人の財物」とは、金銭的価値がある財産全般を指します。現金や宝石など形ある物が一般的ですが、電気も財物に含まれます(刑法245条)。

「窃取」とは、他人の財産を勝手に自分の物にすることです。スリ・万引き・空き巣のように、被害者にバレないようにこっそりと盗むのが典型的な事例ですが、ひったくりも窃盗に該当するケースが多いです。

詳しい窃盗罪の要件・手口や強盗罪との違いについては、以下の記事を参考にしてください。

窃盗罪と強盗罪の違いとは?被害に遭ったらどうするべき?

窃盗未遂の場合にも刑事告訴できる?

窃盗は未遂でも罪になります(刑法243条)。犯行が途中で終わったとしても、被害者が刑事告訴して犯人の処罰を求めることが可能です。

未遂であっても、法律上科せる刑罰の範囲は基本的に変わりません。窃盗の場合には「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

被害が発生していないため実際の量刑は軽くなる可能性があるものの、未遂であっても刑事告訴をして刑罰を科せます。

窃盗罪の未遂と既遂

窃盗罪が、最後まで犯行を遂げたとして「既遂」になるのは、被害者の財産を犯人が自分の支配下に移したケースです。犯人が支配するに至っていない場合には、未遂に該当します。

現実には、窃盗の未遂と既遂の境目は微妙なケースも多いです。

過去の判例では、以下のケースで既遂と判断されました。

  • 被害者の帰宅により盗品を置いて逃走したが、荷造りを終え盗品を出口まで運んでいた(東京高裁昭和27年12月11日)
  • 自動車を道路まで移動させ、エンジンを始動させて発進可能な状態にした(広島高裁昭和45年5月28日)
  • スーパーで買い物かごに入れた商品を、レジを通過せずに、袋詰めする場所まで持ち出した(東京高裁平成4年10月28日)

これらのケースは、既に被害品が犯人の支配下に移っていたと評価できます。

反対に、以下のケースでは未遂と判断されています。

  • 工場の資材小屋から物を取り出して運搬したが、構内で発見された(大阪高裁昭和29年5月4日)

このケースでは、財物を工場の外まで運び出すまでのハードルが依然として高かったことから、支配下に移したとはいえず未遂と判断されたと考えられます。

犯人がわからなくても刑事告訴できる

窃盗はこっそり行われるものであるため、防犯カメラ映像や目撃者がなく、犯人に結びつく決定的な証拠がないケースも多いです。犯人がわからないと、警察で告訴を断られる場合があります。

しかし、犯罪の事実さえ特定していれば、刑事告訴は可能です。当事務所では、犯人が特定できなくても刑事告訴を受理させた事例がございます。

介護職員がクレジットカード等を摂取した行為について刑事告訴が受理された案件

窃盗被害に遭った時の流れ

窃盗の被害に遭ったときには、警察に被害届を出したり、刑事告訴をしたりすれば、犯人への刑事処分につながります。刑事裁判では被害者への金品の返還は命じられないため、金銭的な被害を回復するためには犯人に別途請求しなければなりません。

実際に窃盗被害にあった際には、以下の方法で対処しましょう。

被害届を出す

まず考えられるのが、警察への被害届の提出です。被害届を提出して窃盗の被害を申告すれば、警察が動いて逮捕や刑事罰につながる可能性があります。

窃盗事件が発生したからといって、警察がすべてを把握できるわけではありません。警察に相談して被害届を提出すれば、被害の事実が捜査機関に伝わり、犯人の処罰に向けた動きが進むメリットがあります。

もっとも、被害届を出しても警察が動かず、処罰に至らないケースも多いです。そもそも受理してもらえない場合もあります。

後述する通り、被害届の提出ではなく刑事告訴をすれば、捜査を進めてもらえます。

金品を返してもらう

刑事処分だけでなく、犯人に被害品を返してもらいたいとも思うでしょう。

被害届や刑事告訴をきっかけとして犯人が起訴され、裁判で刑罰が科される可能性はあります。もっとも刑事裁判では、被害者への金品の返還を直接命じることはできません。

被害を金銭的に回復するためには、別途交渉や訴訟により加害者に請求する必要があります。相手が返還に応じた場合、あるいは裁判の判決をもとに強制執行できた場合には、被害が回復されます。

もっとも、現実には盗んだ金銭を使い込んだり、盗品が第三者に渡っていたりして、犯人の手元には残っていないケースも多いです。犯人に財産がなければ回収が難しく、泣き寝入りせざるを得なくなってしまいます。

刑事告訴する

もっともより強力な方法が刑事告訴です。

刑事告訴は、被害の申告だけでなく、犯人への処罰の意思表示も含みます。警察が刑事告訴を受けたときには、書類や証拠物を検察官に送付しなければなりません(刑事訴訟法242条)。被害届とは異なり、微罪処分として警察限りで事件が終わってしまうことがなく被害届とは異なり確実に捜査を進めてもらえるため、犯人に刑事処分を科せる可能性が高まります。

加えて、刑事告訴により、被害品の回収を進めやすくなる点も大きなメリットです。刑罰による不利益をおそれた犯人が示談交渉に積極的になり、金品の返還を申し出る可能性が高まります。示談に伴い被害弁償をしてもらえば、民事訴訟を提起せずとも、交渉によって財産的被害を取り戻せるのです。

刑事告訴は、犯人の処罰だけでなく、金銭的な被害の回復にもつながる有効な手段といえます。

窃盗被害に遭った際に弁護士に相談するメリット

窃盗被害に遭った方は、警察に動いてもらえない、金品が返ってこないといった悩みをお抱えかと思います。

お困りの際には、刑事事件の被害者に寄り添ってサポートをする弁護士にご相談ください。弁護士に相談・依頼いただければ、次のメリットがあります。

被害届・告訴状が受理されやすくなる

弁護士がついていると、警察に被害届や告訴状を受理してもらいやすくなります。

本来であれば、被害届や告訴状を受理するのは当然のはずです。しかし、現実には「証拠が足りない」「被害の程度が重くない」「他の事件処理が忙しい」といった理由で断られてしまうケースが極めて多いも多いです。味方だと思っていた警察に取り合ってもらえず、ショックを受けた方もおられるでしょう。

刑事告訴を得意とする弁護士が証拠収集や捜査機関への働きかけをすれば、被害届や告訴状が受理されやすくなり、最終的に犯人に刑罰が科される可能性を高められます。警察とのやりとりも任せられるため、精神的な負担も軽減されるはずです。

盗まれた金品の回収を行える可能性が広がる

犯人に刑罰を科すだけでなく、金銭的な被害の回復も進められます。

弁護士には、加害者との交渉や民事訴訟もお任せください。被害者の方がご自身で進めるのは、手間がかかるだけでなく危険を伴います。弁護士が法的知識や経験に基づいて請求を進めれば、金品を返してもらえる可能性が高まります。

加えて、被害届や告訴状が受理されれば、加害者が刑罰をおそれて示談交渉に積極的になりやすいです。示談の際には被害弁償がセットになるため、民事訴訟を起こさずとも被害を金銭的に回復できます。

弁護士に依頼して捜査機関を動かすことにより、結果的に財産的な被害の補償も受けやすくなるのです。

犯人を特定するために動ける

そもそも犯人が誰かわからない場合にも、弁護士にご相談ください。

窃盗はバレないように実行されるケースが多いです。被害者や周囲の人が気がつかず、防犯カメラ映像も残っていなければ、簡単には犯人を特定できません。

犯人が不明であるときに、被害者がご自身で証拠を集めるのは難しいです。弁護士に依頼すれば、犯人につながる証拠収集も進められます。

証拠が集まって犯人がわかればベストですが、特定までは至らなくても近づける可能性はあります。ある程度証拠を集められれば、告訴を受理してもらいやすいです。

犯人の特定は、刑事処分はもちろん、民事上の請求の際にも必要です。自力では難しくても、弁護士に依頼すれば特定のために動いてもらえます。

窃盗被害に関するよくある質問

窃盗の被害者の方からよく受ける質問をまとめました。

親族間での窃盗は告訴できる?

親族間の窃盗を告訴できるかは、加害者と被害者との関係によります。

被害者が以下に該当するときには、窃盗罪の刑が免除され加害者に刑罰を科せないため、告訴もできません(刑法244条1項)。

  • 配偶者(夫・妻)
  • 直系血族(祖父母、両親、子、孫など)
  • 同居している親族

被害者がこれらに該当しない親族のときには、親告罪となります(刑法244条2項)。

親告罪とは、起訴して刑事裁判にかけるのに告訴が不可欠となる犯罪です。被害者が上で挙げた人以外の親族であったときには、告訴が可能であり、告訴しないと処罰ができません。

親族間の窃盗において処罰が制限されているのは、「法は家庭に入らず」との考えによります。家庭内のトラブルは家庭での解決に委ね、国家権力が介入するのは避けるべきとの考えです。

加害者が親族であったときには、関係性によって告訴できる場合とできない場合にわかれます。注意してください。

窃盗罪に時効はある?

窃盗罪には、7年の公訴時効期間が定められています(刑事訴訟法250条2項4号)。犯行から7年経つと、起訴して刑事裁判にかけることができません。刑罰を科したいのであれば、早めに被害を申告してください。

民事上の請求にも時効があります。「被害と加害者を知った時から3年」あるいは「犯行から20年」を経過すると、民事上の請求ができなくなってしまいます。民事上の損害賠償を求めるためにも、早めに動かなければなりません。

時効期間とは関係なく、証拠は時間が経つと消えていきます。犯人の責任を追及するためには、被害がわかったらすぐに行動を開始するようにしてください。

まとめ

ここまで、窃盗罪の刑事告訴に関して解説してきました。盗品が返還されたケース、未遂のケース、犯人が特定できないケースであっても、刑事告訴は可能です。

実際に、当事務所では窃盗罪の刑事告訴を受理させた事例がございます。依頼すれば、証拠収集、告訴状の作成、警察とのやりとり、加害者との示談交渉などをお任せいただけます。

窃盗で刑事告訴を検討している方は、リード法律事務所までご相談ください。

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