最終更新日:2024.11.12
結婚詐欺・ロマンス詐欺とは?被害を取り戻すのが困難な理由
「結婚詐欺に遭ったようだ」とお困りでしょうか?
結婚詐欺とは、恋愛感情につけこんで金銭を騙し取る詐欺です。近年は、SNS上で外国人が近づいてくる「国際ロマンス詐欺」と呼ばれる手口が急増しています。
残念ながら、結婚詐欺・ロマンス詐欺で被害を取り戻すのは困難と言わざるを得ません。にもかかわらず、(自称)弁護士が「必ず取り返す」として返金を請け負うケースもあります。結局動いてもらえず、返金されないばかりか弁護士費用を騙し取られる二次被害まで発生しているのが実情です。
この記事では、結婚詐欺・ロマンス詐欺の手口や被害を取り戻すのが難しい理由などについて解説しています。「結婚詐欺に遭ったかもしれない」とお感じの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
結婚詐欺・ロマンス詐欺とは?
まずは、結婚詐欺・ロマンス詐欺の意味や近年の被害状況をご説明します。
恋愛感情を利用して金銭を騙し取る詐欺
結婚詐欺は、恋愛感情を利用して金銭を騙し取る詐欺手口です。結婚を匂わせて近づき、被害者が信頼したところで金銭を要求するのが一般的な流れです。通常は渡すはずのないお金でも、「大事な結婚相手のため」と考えて支払ってしまいます。中には1億円を超える被害が出るケースも存在します。
被害者の恋愛感情につけ込んでおり、結婚詐欺は詐欺の中でも悪質な手口です。
国際ロマンス詐欺の被害が急増している
従来の結婚詐欺は対面で行われていましたが、近年はネットを利用した手口が拡大しています。とりわけ外国人がマッチングアプリやSNS上で近づいてくるケースが増えており、「国際ロマンス詐欺」と呼ばれています。
警視庁の発表によると、2024年1月~7月における「SNS型ロマンス詐欺」の認知件数は1868件、被害額は約198.8億円です。前年同期比で2倍以上に急増しています。被害者は男性の中高年が多く、被害額が1000万円を超えるケースも少なくありません。(参考:令和6年7月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について|警視庁)。
ネット上での出会いのハードルが下がった状況を背景に、SNS等を通じたロマンス詐欺の被害も増加しています。
結婚詐欺・ロマンス詐欺の手口
結婚詐欺・ロマンス詐欺の典型的な流れは次の通りです。
- SNSやマッチングアプリに現れる
- 恋愛感情を利用して信用させる
- お金を出すよう求める
- 突然姿を消す
順に手口をご説明します。
SNSやマッチングアプリに現れる
かつての結婚詐欺は、婚活パーティなど対面の場に詐欺師が現れるのが一般的な手口でした。ネット上での男女の出会いが当たり前となった現在では、SNSやマッチングアプリで詐欺師と被害者が出会うようになっています。
詐欺師からすると、ネットを利用すれば様々な相手に簡単にメッセージを送れるため、ターゲットを探すのが容易です。また、実際に会おうと言われても、「海外に居住している」とすれば断る理由になります。会ったことのないままやりとりが進み、相手の素性が定かでない中で関係が深まっていくのが近年の特徴です。
恋愛感情を利用して信用させる
詐欺師は、異性にとって魅力的に映る、容姿が良い人や社会的地位の高い人を装うケースが多いです。さらに甘い言葉などで被害者の恋愛感情を高めます。
ターゲットになりやすいのは、恋愛経験が少ない、結婚を焦っている、経済力があるといった特徴を持つ人です。早い段階で交際や結婚を申し込み、冷静に考える隙を与えません。被害者に「運命の相手だ」などと思い込ませ、騙しやすい環境を整えていきます。
お金を出すよう求める
被害者を信用させたところで、何かと理由をつけて金銭を要求してきます。
例としては以下が挙げられます。
- 家族が病気で手術費用が必要
- 渡航費用を支払ってほしい
- 2人の将来のために投資をしよう
通常であれば支払うはずのない理由でも、すっかり詐欺師を信じている被害者は、「大事な相手のためだ」とお金を渡してしまうのです。いきなり大金を要求するのではなく、最初は少額を借りたうえで返済し、信用させるケースもあります。
国際ロマンス詐欺では、特に投資名目でお金を支払わせるケースが目立ちます。投資詐欺について詳しくは、以下の記事を参照してください。
参考記事:投資詐欺被害に遭ったら、すぐにするべきこととは?詐欺の特徴と返金方法
突然姿を消す
金銭を受け取ったら、詐欺師は突然姿を消します。「日本に行けなくなった」などと別れ話をするケースもあれば、何の前触れもなく連絡がとれなくなるケースもあるでしょう。もちろん渡したお金は返ってきません。
相手がいなくなって、被害者は「騙された」と気がつきます。返済を求めようにも、連絡すらとれず途方に暮れてしまいます。
結婚詐欺・ロマンス詐欺で被害を取り戻すのが難しい理由
結婚詐欺・ロマンス詐欺の被害者は、法律上は加害者に対して返金を請求する権利を有しています。加えて、加害者の行為は刑法上の詐欺罪に該当し得ます。
しかし、実際に金銭を取り戻したり刑罰を科したりするのは困難です。責任追及が難しい理由としては、以下が挙げられます。
加害者の身元すらわからない
そもそも、加害者の身元すらわからないケースが多いです。
詐欺師は、個人情報を極力渡さないように行動しています。とりわけネット上では、名前・国籍・容姿・職業・所属組織などを偽るのは簡単です。被害者としては、相手が本当は誰かすらわからない状態であり、責任追及は難しくなります。
詐欺の立証ができない
民事・刑事いずれにしても、法的な責任を追及するためには証拠が欠かせません。しかし、詐欺被害にあった事実を証明するのは困難です。
刑法上の詐欺罪が成立するには、騙そうとする行為によって被害者が騙され、財産を引き渡した事実を証明する必要があります。しかし、メッセージは既に消えているなど、十分な証拠が残っていないケースが多いです。また、加害者が金銭を騙し取る意思を持っていたことも詐欺罪の成立要件になりますが、「借りただけだった」などと判断されやすく、証明するのは容易ではありません。
詐欺の立証が難しい点も、加害者への責任追及が困難な理由のひとつです。詐欺罪の成立要件について詳しくは、以下の記事をお読みください。
参考記事:詐欺罪とは?量刑や詐欺手口の種類、被害に遭ったらすべきことを解説
財産への強制執行が不可能な状態になっている
実際に被害額を返還してもらうには、最終的には相手の財産に強制執行をかけて回収する必要があります。しかし、詐欺師の財産から回収するのは困難です。
結婚詐欺は計画的に行われるため、多くのケースで騙し取ったお金は強制執行できない状態になっています。口座からすぐに引き出される、海外口座に送金される、法人を複数介するなど、様々な方法で移されており、被害者にはお金の行方がわからないのです。したがって、被害額を回収するのは非常に難しいと言わざるを得ません。
警察も十分に対応してくれない
被害者の方が頼りたくなるのは警察でしょう。しかし、結婚詐欺・ロマンス詐欺に関しては警察に十分な対応は期待できません。
そもそも結婚詐欺では証拠が残りづらく、被害事実を証明できないため、刑事告訴を受理させて捜査を進めてもらうのは困難です。とりわけ国際ロマンス詐欺で拠点が海外にあれば、捜査のハードルは高くなります。
国家権力を有している警察・検察であっても、結婚詐欺・ロマンス詐欺では加害者への責任追及は難しいのが実情です。
国際ロマンス詐欺の被害者を狙った詐欺にも注意
残念ながら、国際ロマンス詐欺の被害者を狙った詐欺も発生しています。被害に遭った方をターゲットにした大変悪質な手口です。更なる被害に遭わないため、あるいは被害に気がつくために、手口や見抜くポイントをご紹介します。
弁護士であっても返金は困難
ここまで説明してきた通り、結婚詐欺・ロマンス詐欺の被害を取り戻すのは非常に困難です。残念ながら、弁護士に依頼しても返金が難しい点は変わりません。
ロマンス詐欺で返金が難しい理由は、相手の身元や犯行についての証拠が十分にない、財産の行方がわからないといった点にあります。いくら弁護士であっても存在しない証拠は作り出せませんし、海外にある財産を突き止めるのも困難です。したがって、弁護士をつけたとしても、国際ロマンス詐欺で十分な返金を受けられるケースは、残念ながらほとんどありません。
二次被害に遭う被害者が続出している
弁護士でも返金が困難であるにもかかわらず、弁護士を名乗って「必ず返金できる」などとアピールし、弁護士費用を騙し取る被害が発生しています。
こうした事例では、実際には弁護士が対応しておらず、他者に弁護士の名義を使わせて広告を出している場合が多いです。返金できると信じた被害者が高額の着手金を支払ったものの、ほとんど何もせずに放置されてしまい、更なる被害が生じています。
国際ロマンス詐欺で全額回収できる可能性はゼロとは言いませんが、ほとんどありません。まして「必ず返金できる」わけがないことは、弁護士であれば理解しているはずです。「少しでも取り返したい」と考える被害者の心情につけ込んだ、許しがたい手口です。
悪質な弁護士の特徴
二次被害をもたらす「弁護士」の特徴は以下の通りです(参考:国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点|東京弁護士会)。
- 弁護士が1人しかいないのに「24時間365日対応」としている
- 実績がないのに「専門弁護士」などと称する
- 他の詐欺で回収した事例を国際ロマンス詐欺の事例であるかのように表現する
- 弁護士が対応していない
「必ず返金できる」とする弁護士には疑ってかかるべきですが、これらの特徴がある場合には特に注意してください。
結婚詐欺・ロマンス詐欺で二次被害に遭った方はご相談ください
弁護士による二次被害に遭った疑いがある方は、当事務所までご相談ください。ご相談いただければ、以下のサポートをいたします。
詐欺被害に遭っているかがわかる
状況をお伺いすれば、詐欺被害に遭っているかどうかがわかります。
「依頼したが進捗報告が全くない」「事務員に対応され弁護士と直接話せない」など、悪徳弁護士には特徴があります。元々のロマンス詐欺の返金が難しいかどうかも考慮したうえで、依頼中の弁護士に騙されていないかを判断できる点が、他の弁護士に相談するメリットです。
悪質な弁護士への返金請求ができる
ご依頼いただければ、悪徳弁護士に対する返金請求ができます。国際ロマンス詐欺そのものの返金と比べると、国内にいる弁護士相手の返金請求はハードルが低いです。
もちろん、必ず取り戻せるわけではありません。状況をお伺いしたうえで、返金可能性や採れる手段ごとのメリット・デメリットをアドバイスいたします。返金が期待できない場合には、必ずその旨をお伝えします。
契約を無理強いすることはありません。安心してご相談ください。
まとめ
ここまで、結婚詐欺・ロマンス詐欺の手口や返金が困難な理由などについて解説してきました。
結婚詐欺は、恋愛感情を利用して金銭を騙し取る詐欺手口です。近年は、ネットを通じた国際ロマンス詐欺の被害が深刻化しています。
残念ながら、ロマンス詐欺で返金を受けるのは難しいのが実情です。にもかかわらず「返金できる」とアピールして弁護士費用を支払わせる詐欺も発生しています。騙されないよう注意するとともに、被害の疑いがあるときにはリード法律事務所までご相談ください。
当事務所は、犯罪被害者のサポートに力を入れており、民事上の請求だけでなく刑事告訴も可能です。警察はなかなか告訴を受理してくれませんが、詐欺罪で刑事告訴を受理させた事例も多数ございます。
「国際ロマンス詐欺で弁護士に騙された」とお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。